本記事は、田中 はじめ氏の著書『世界最高峰の研究者たちが教える ストレス解消法』(総合法令出版)の中から一部を抜粋・編集しています。

A beautiful woman wearing a white towel takes a sauna
(画像=Kitreel / stock.adobe.com)

流行りのサウナはメンタルヘルスに効く

2019年頃からサウナがブームになり、今では定番のリラックス方法になっています。

週末なんかはどこのサウナも満員で、入るのにも一苦労です。私はサウナが苦手で5分も入っていられません。いまだに「整う」という感覚を味わったことがないので、死ぬまでに一度は「整う」感覚を味わってみたいと思っています。

そんなサウナですが、どうやらサウナには健康上の利点がいくつもあるようで、サウナは精神疾患の予防にもつながることがわかりました。他にも高血圧症や心疾患などにも効果があるようです。さらに、皮膚疾患、頭痛などの症状の緩和、インフルエンザなどの感染症の予防にも効果があることが明らかになりました。

フィンランドのユヴァスキュラ大学のヤリ・A・ラウッカネンらは、フィンランド式サウナが健康に及ぼす影響について調査しました。フィンランド式サウナは、短時間、高温環境(80度〜100度)にさらされるという特徴があります。その結果、サウナには、温熱効果により、心身の緊張がほぐれるため副交感神経が刺激されて、心が落ち着きやすくなくなることがわかりました。また、幸せを感じるエンドルフィンなどのホルモンの増加に関連していることもわかりました。

定期的にサウナに入浴すると、サウナが循環器、呼吸器、心臓血管、免疫機能に良い影響を与えます。身体活動的にも、サウナはうっすらと汗ばむ程度のウォーキングと同等以上の効果があるようです。

ただ、サウナには、脱水症状だったり、低血圧の人は立ちくらみを感じることもあります。他にも、持病をお持ちの人や体温調節に問題のある人は、必ず事前に医師に相談してからサウナに入るようにしてください。

健康上、問題がなければサウナはストレス解消にとても効果がありオススメです。今は、キャンプ場にサウナがあったり、個室のサウナがあったり、楽しみ方はたくさんあります。一人でも楽しめますし、家族や友達とも楽しんでみてもいいでしょう。

発酵食品を食べるとメンタルヘルスに良い

私は、毎朝納豆を食べことを習慣としています。そんな私に朗報がありました。

なんと、発酵食品を食べるとメンタルヘルスに良いことがわかったのです。

私はただ納豆が好きで食べるのが習慣になっていただけですが、発酵食品を食べるとなんだかいいことがあるみたいなのです。

アイルランドにあるAPCマイクロバイオーム研究所のキルステン・バーディングらの研究所で、発酵食品を4週間多く食べるだけでストレスや不安が軽減されることがわかったのです。キルステン・バーディングらは18〜59歳の健康な45人を募集しました。半数以上が女性です。参加者は2つのグループに分けられました。1つのグループには、栄養士が考えた発酵食品の摂取量を増やす食事を4週間取ってもらいました。もう1つのグループには、特に発酵食品などを考えずに普通のメニューの食事をしてもらいました。

その結果、発酵食品の摂取量を増やしたグループでストレスや不安が軽減されたのです。また、その結果は、参加者が食事をどれだけ厳密に守ったのかが、ストレスレベルとの間に相関がありました。つまり、きちんと発酵食品を摂取した人は、ストレスや不安の軽減の度合が大きかったのです。

興味深いことに、睡眠の質も大幅に改善されることも明らかになったのです。

発酵食品を食べると、食品に含まれる微生物によって腸内環境が整えられます。この研究のような食事は、腸内環境が整えられ、メンタルヘルスの改善につながることがわかったのです。

日本人には、納豆やみそ汁、漬物といった発酵食品文化が昔からあります。昔の人はもちろんこの研究など知るはずもないので、経験で自然と発酵食品が心身ともによいということがわかっていたのかもしれません。アメリカにはピクルス、韓国にはキムチ、ドイツにはザワークラウトなど世界中にも発酵食品は多くあります。

日本人にとって発酵食品を1日1回取ることは、そこまでハードルは高くないことだと思いますので、とりあえず1週間くらい試してみるのはどうでしょうか?

それで調子が良くなるようでしたら、さらに続けてみてください。

果物を食べるとうつ病のリスクが減る

1日に必要な350gの野菜が取れるタンメンや1日分の野菜が取れるジュースなど、コンビニやスーパーなどで見かけたことがあると思います。この1日に必要な野菜の量というのは生活習慣病の予防の観点からいわれています。野菜を取ることが身体的に良いことはみなさん知っていると思いますが、近年、果物や野菜の摂取量を増やすと、うつ病のリスクを減らすことができるということがわかりました。

オーストラリアにあるシドニー大学のヴィクトリア・フラッドらは、米国、スウェーデン、ブラジル、ナイジェリア、マレーシア、オーストラリアを含む6大陸から45歳以上の人における果物と野菜の摂取とうつ病の関連を9年間調べました。

9年後に精神的に健康な7,801人を詳しく調べると、野菜と果物の摂取量が多いことがわかりました。この結果から、野菜と果物の摂取量が多いとうつ病のリスクを減らせることがわかりました。野菜と果物の摂取とうつ病のリスクとの間に予防的な関連性があるというこの発見は、メンタルヘルスケアにおいて食事療法をより重視する必要性を示しています。なぜ、野菜と果物がうつ病予防に効果的なのかというと、野菜や果物に含まれる高レベルの抗酸化物質、食物繊維、ビタミンは、炎症、酸化ストレス、腸内フローラへの作用など、多くのメカニズムを通じてうつ病予防に有益な影響を与えているからです。

果物や野菜にはさまざまな栄養素が含まれているため、果物や野菜の種類によってうつ病のリスクへの影響が異なるようです。特にうつ病のリスクを低下させたのが柑橘系の果物と緑の葉物野菜でした。

この研究により、野菜や果物を食べるとうつ病のリスクが下げられることが明らかになりました。野菜や果物を食べると心身ともに良い影響を与えるので、なるべく野菜や果物を多く取る生活をしましょう。

1人暮らしの方は特に野菜不足の方が多いので、野菜ジュース、サプリ、青汁なんかで工夫してみましょう。ただ、あくまでもこれらは補助的なものなので、外食のときは必ずサラダをつけることを習慣にしていきましょう。

世界最高峰の研究者たちが教えるストレス解消法
田中 はじめ(たなか・はじめ)
1980年生まれ、中央大学卒業。
就活で出版社のみを志望するが全滅。大学卒業後は、コンサルティング会社、出版社勤務を経て独立。
出版社勤務時代は、プロデュースや書籍編集、ブックライティングなどを担当。携わった書籍は300冊以上。
ビジネス書や人文書を多く手掛ける。趣味は釣り、スノーボード、草野球。現在はフリーの編集者。
世界最高峰の研究者たちが教えるストレス解消法
  1. ストレスでジャンクフードを食べてしまう理由とは?
  2. ストレスがある人は認知症になりやすい?!
  3. メンタルヘルスに良いものとは?
  4. ストレスがあることは悪いことなの?
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