この記事は2025年3月7日にSBI証券で公開された「20万円未満で買え、好業績も期待できる?「3月株主優待銘柄」」を一部編集し、転載したものです。

20万円未満で買え、好業績も期待できる?「3月株主優待銘柄」
(画像=SBI証券)

目次

  1. 20万円未満で買え、好業績も期待できる?「3月株主優待銘柄」
  2. 一部掲載銘柄を解説!
    1. ケンコーマヨネーズ(2915)~業務用調味料・サラダが中心。四半期累計で過去最高益
    2. ベルーナ(9997)~いまは「ホテル」がけん引役。好配当利回りも魅力?
    3. ホクト(1379)~「きのこ」の総合企業。株主優待は自社製品詰合せ

20万円未満で買え、好業績も期待できる?「3月株主優待銘柄」

東京株式市場が波乱含みの展開です。前月末の2/28(金)には、日経平均株価が前日比1,100円も下落し、ボックス相場(前年10月以降おおむね38,000円~40,000円)を下回ってしまいました。

グローバルな「AI(人工知能)相場」をけん引してきた米エヌビディア株をはじめ、米テック株が調整に転じていること、トランプ米大統領の関税政策に不透明感が強まっていること等を背景に、米国株が波乱含みの展開になっています。それを受け、東京株式市場でもリスク回避ムードが強まっています。

3/6(木)の東京株式市場は、メキシコ・カナダからの輸入に対する関税について、自動車への課税が1ヵ月猶予されたことから、不安心理が後退し続伸となりました。しかし「孤立主義」の傾向を鮮明にし始めた米国と他の国々との軋轢は続くとみられ、株式市場は引き続き波乱の展開が想定されます。

ただ、トランプ米大統領の政策は、第1次政権(2017.1~2021.1)も含め、世界的なサプライチェーンの再構築につながり、日本の再評価につながっている面もありそうです。関税政策についても、米国経済への打撃が大きくなり、政権支持率への配慮から調整されていく可能性も十分あるとみられます。中長期的には株式市場でリスク許容度が再度回復する展開に期待したいところです。

そうした中、東京株式市場は3月相場を迎えました。3月は多くの銘柄で配当や株主優待の権利が確定する月となります。配当や株主優待を重視する中長期スタンスの投資家にとっては重要な月といえるでしょう。そこで今回の「日本株投資戦略」では、3月に権利が確定する株主優待銘柄をご紹介することにしました。

スクリーニング条件は以下の通りです。

(1)東証プライム市場上場銘柄
(2)3月に株主優待の権利確定を予定している銘柄
(3)株主優待の権利を確定するのに必要な最低投資金額が20万円未満
(4)株主優待の権利を確保するための最低保有期間の条件がない
(5)直近四半期累計の営業利益が前年同期比増益で、かつ営業利益の増減率が通期会社予想営業利益の増減率を上回っている
(6)直近四半期累計の純損益が黒字
(7)取引所または日証金、当社による信用規制・注意喚起銘柄を除く
(8)SBI証券株主優待検索ページで、閲覧回数の多い上位100銘柄以内(3/5時点)

すべての条件を満たす銘柄をSBI証券株主優待検索ページで、閲覧回数の多い順(3/5時点)に並べたものが下の図表です。今回は(5)の条件を加えていますので、今後会社予想営業利益の上方修正も期待できる好業績期待銘柄の側面も有しています。さらに、スクリーニング条件ではなかったものの、全銘柄が期末配当を予定している銘柄になっています。

なお、「3月に権利が確定する株主優待銘柄」のほとんどが3/27(木)を権利付最終日としています。この場合、3/28(金)の権利落ち日以降に買い付けができても、配当および株主優待の権利を確保することはできませんので、ご注意ください。

また、権利付最終日に優待実施銘柄を買い、権利落ち日に売ることで、効率良く株主優待の権利獲得を考える投資家の方もいらっしゃるのではないでしょうか。ここで注意すべき点は、買い付ける時の株価が予想外に高くなったり、売る時の株価が予想外に安くなったりなど、相当額の売却損がでてしまうケースです。配当取りも同様で、権利落ち日には配当実施分だけ株価が下がることが多くなっています。ノーコスト・ノーリスクで株主優待や配当を享受することは難しいでしょう。

それでも、コストやリスクを軽減して、株主優待の権利を確保する方法はあります。ひとつは、複数銘柄に投資をし、リスク分散を図る方法です。

もうひとつは「つなぎ売り」を活用した取引です。「つなぎ売り」で株主優待をお得に活用する方法については、SBI証券のWebページでご紹介していますので、参考にしてください。ただ、「つなぎ売り」をした場合、信用取引の「売り」により、配当調整金を支払う必要が出て、実質的に配当を受け取れなくなるなど、重要な注意点*(下記脚注の詳細参照)もあります。メリットとデメリットを十分理解した上でのご利用をお願い申し上げます。

重要な注意点 ~つなぎ売りを利用した場合の「配当金(現物と信用)受け払いの差額」~

※権利付き最終日の大引け時点でつなぎ売りをしている場合、現物については税金が差し引かれた配当金(配当金の約80%)を受取り、一般信用売り建玉については配当落ち調整金(配当金の100%相当)をお支払いいただきます。したがいまして、配当金の約20%相当の差額をお客さまにご負担いただくことになります。 ※権利付き最終売買日と権利落ち日をまたいで信用売建玉がある場合、権利落ち日に予想配当金相当額(予定配当調整金)をあらかじめ委託保証金現金から拘束させていただき、配当金が確定後に拘束金から支払いを行います。信用売建玉に対する支払予定配当金相当額合計(予定配当調整金合計)は、ログイン後ページ内「口座管理」>「信用建余力」>「建余力・追加保証金」の「増担保・配当調整金」に表示させていただいております。

20万円未満で買え、好業績も期待できる?「3月株主優待銘柄」 20万円未満で買え、好業績も期待できる?「3月株主優待銘柄」
(画像=SBI証券)

一部掲載銘柄を解説!

ケンコーマヨネーズ(2915)~業務用調味料・サラダが中心。四半期累計で過去最高益

ホテルやレストランなどの業務用向けを中心に、マヨネーズやドレッシング、サラダなどの製造・販売をしている企業です。売上高構成比(24.3期)は、調味料・加工食品事業が78%、スーパー向けにサラダのパック販売等を行う総菜関連事業等が10.5%で、その他はサラダカフェの運営をしています。

25.3期3Q時点での業績は、4-12月期として過去最高の売上高と営業利益を更新。タマゴ加工品への需要回復や、価格改定効果が寄与しました。

株主優待では、毎年3月末時点で100株以上保有する株主に対して、自社製品の詰め合わせを贈呈しています。100株以上1,000株未満の株主には1,000円相当、1,000株以上の株主には2,500円相当の製品が提供される予定です。「プロ向け」のマヨネーズやドレッシングが入っており、2,500円相当のセットでは、ガーリックバターソースやキーマカレー、ポテトサラダなどが入ったセットも選択が可能です。

ベルーナ(9997)~いまは「ホテル」がけん引役。好配当利回りも魅力?

24.3期は営業利益97.9億円のうち、ホテルや不動産、太陽光発電を行う「プロパティ、ホテル事業」が42.6億円、受託業務やファイナンス事業、物流3PL(物流業務の受託)を行う「データベース活用事業」が51.5億円と稼ぎ頭で、その他事業の赤字を吸収しました。25.3期3Q累計業績も営業利益が73億円(前年同期比28%増)と好調でしたが、インバウンド需要を取り込んだ「プロパティ、ホテル事業」がけん引役となりました。

配当については、DOE(株主資本利益率)1.5%を下限とし、連結配当性向35%を目途としています。25.3期は上期実績1株14.5円、下期会社計画14.5円、年間29円(3/6終値349円で計算される予想配当利回りは3.0%)が会社計画です。

3月末(権利付最終日は3/27)および9月末の株主に対し、保有株数に応じ、①~③のいずれかを選択する株主優待が実施されています。

100株以上500株未満・・・①会社運営の通信販売で使用できる優待割引券1,000円相当
             ②ベルーナオンラインストアで使用できる優待ポイント1,000円相当
             ③取扱商品1,000円相当:食品、お菓子、ワイン、日本酒から選択

500株以上1,000株未満・・ ①会社運営の通信販売で使用できる優待割引券3,000円相当
             ②ベルーナオンラインストアで使用できる優待ポイント3,000円相当
             ③取扱商品3,000円相当:食品、お菓子、ワイン、日本酒から選択

1,000株以上・・・・・・・ ①会社運営の通信販売で使用できる優待割引券5,000円相当
              ②ベルーナオンラインストアで使用できる優待ポイント5,000円相当
              ③取扱商品5,000円相当:食品、お菓子、ワイン、日本酒から選択

ホクト(1379)~「きのこ」の総合企業。株主優待は自社製品詰合せ

「きのこ」の総合企業。種菌開発から生産・販売までを国内外で展開。海外売上高比率(24.3期)は10%です。 25.3期3Q(24.4-12月)は、売上高616億円(前年同期比5.2%)、営業利益40億円(同182%増)と大幅増益となりました。上田第一センターでの火災の影響で、生産量は前年同期比で減少しました。しかし、野菜相場の高騰で単価が堅調となったことや、コスト管理の改善などが業績を押し上げました。

ホクトは、毎年3月末時点で100株以上保有する株主に対して、自社製品の詰め合わせを贈呈しています。優待品は「きのこ・レトルトセット(きのこ2種類、レトルトカレー等詰合せ)」、「レトルトセット(レトルトカレー、炊き込みご飯の素等詰合せ)」、「健康セット(アガリクスドリンク等詰合せ)」の3つから選択可能です。

▽当ページの内容につきましては、SBI証券 投資情報部長 鈴木による動画での詳しい解説も行っております。東証プライム市場を中心に好業績が期待される銘柄・株主優待特集など、気になる話題についてわかりやすくお伝えします。

鈴木 英之
鈴木 英之
SBI証券 投資情報部長
・出身:東京(下町)生まれ埼玉育ち
・趣味:ハロプロの応援と旅行(乗り鉄)
・特技:どこでもいつでも寝れます
・好きな食べ物:サイゼリヤのごはん
・好きな場所:秋葉原(末広町)
ラジオNIKKEI(月曜日)、中部経済新聞(水曜日)、ストックボイス(木曜日)、ダイヤモンドZAIなど、定期的な寄稿も多数