この記事は2025年2月28日にSBI証券で公開された「株価下落で投資チャンス!?~高配当&好業績10選」を一部編集し、転載したものです。

目次
株価下落で投資チャンス!?~高配当&好業績10選
2月の日経平均は、38,000円~39,500円近辺でのボックス圏での株価推移となっていました。しかし、月内最終営業日である2/28(金)、日経平均は1,100円超の大幅安となり、レンジを下抜けた格好です。AI半導体世界最大手のエヌビディア(NVDA)の決算発表を受け、粗利率の見通しが市場予想を下振れたことが嫌気され、米半導体株が下落した影響が東京株式市場にも波及しました。また、トランプ大統領による関税政策の動向に対しても、不透明感が残ったままです。
先行きが読みづらい状況となるなか、成長株投資でキャピタルゲインを狙うのは、なかなか大変かもしれません。そのため、インカムゲインを狙う投資方法も有用な一手と考えられます。さらに、3月は配当の権利確定となる企業数が最も多い月です。
そこで今回の「日本株投資戦略」では、高配当利回り期待かつ、今後の業績見通しが良好となりそうな銘柄を抽出すべく、以下のスクリーニングを行ってみました。
① 東証プライム市場上場銘柄
② 3月に配当金の権利が確定
③ 会社予想1株利益を基準に計算された予想配当利回りが3.45%より大きい
④ 市場予想業績を公表するアナリストが3名以上
⑤ 来期市場予想純利益が前期比プラス
⑥ 来期市場予想経常利益が前期比プラス
⑦ 証券業を除く
⑧ 取引所または日証金、当社による信用規制・注意喚起銘柄を除く
図表の銘柄は、上記を全て満たしています。掲載は、その中で、会社予想配当利回りが高い上位10銘柄です。
スクリーニングの結果、期中に業績下方修正等を行い、株価が低迷し、予想配当利回りが高水準となった銘柄が複数ありました。しかし、今回抽出の結果全て3月決算銘柄となり、次回決算発表は、期末決算です。そのため、来期の市場予想見通しが堅調という条件を付け、今後の業績見通しが良好そうな銘柄とさせていただきました。
東証プライム市場の予想配当利回り(加重平均)は2.45%(2/26)となっています。掲載銘柄の予想配当利回りは最低でも4.9%超と、市場平均を大きく上回っているので「高配当利回り」期待銘柄と表現することは妥当であると考えられます。


一部掲載銘柄を解説!
FCC(7296)
ホンダ(7267)が22.1%を保有(24年9月末)するクラッチメーカー。スズキ、ヤマハ、ホンダ等二輪向けが売上高の44%(24.3期)でトップシェアを有し、GM、フォード、ホンダなど四輪向けは売上高の55%を占めています。海外売上高比率は米国、アジア中心に92.6%です。25.3期はインド、インドネシア等で二輪向けが好調で、円安もあり、業績予想の上方修正が続いています。総還元性向40%を目途に、25.3期会社計画年間1株配当金は202円です。3月末、9月末に200株以上かつ1年以上継続保有の株主に対し、2,500円相当の地元(静岡県)特産品を贈呈する株主優待制度もあります。
メイテックグループホールディングス(9744)
製造業の設計・開発を対象としたエンジニア派遣が主業です。大手顧客はデンソー、ソニーセミコンダクタソリューションズ、ニコン、日立ハイテク等です。1/30(木)発表の25.3期3Q(24.4‐12月期)業績は売上高1,003億円(前年同期比5%増)、営業利益152億円(同6%増)と増収増益。主要顧客が次世代を見据えた技術開発投資を進めたことが寄与しました。利益配分方針は(1)総配分性向100%以内(今期に限り120%)、(2)連結株主資本配当率(DOE)5%が下限、(3)PBRが3倍下回るときに自社株買いを検討等、です。25.3期会社計画1株配当金は中間期末88円(うち記念配15円)、期末97円(同15円)、年間185円(同30円)です。
日本触媒(4114)
様々な化学素材を提供している会社です。たとえば、紙おむつなどに使用される高吸水性樹脂(SAP)は世界の紙おむつの約4分の1に使用されています。また、リチウムイオン電池の電解質として使われるイオネルR等の生産しています。25.3期は売上高4,150億円(前期比5%増)、営業利益200億円(同20%増)が会社計画。2期連続の営業減益から回復途上です。配当政策は、配当性向100%またはDOE(株主資本配当率)2%のいずれか大きい方とし、25.3期は上期1株54円、年間108円が会社計画です。2027年度まで約200億円の自己株式を取得予定で、25.3期は昨年5月決議で約50億円の自己株式を取得済みです。
JFEホールディングス(5411)
鉄鋼、エンジニアリング、商社事業を展開する大手企業です。鉄鋼部門(24.3期売上高構成比:70%)では、様々な鋼製品や加工製品を製造・販売。エンジニアリング部門(同:20%)では、エネルギーや都市環境、産業機械などのプロジェクトを手掛けています。
25.3期の会社予想売上高は4.9兆円(前期比5%減)、経常利益は1,400億円(同48%減)を見込んでいます。建設コストの上昇や、中国経済の不透明感を背景に、期中に業績見通しと配当金額の下方修正を実施。年間の1株当たり配当は110円から100円となりましたが、2/26(水)終値と会社計画年間1株配当たり配当金から算出した予想配当利回りは5%超と高水準です。市場では26.3期の経常増益に期待しています。
安定的かつ持続的な配当を基本方針とし、配当性向は30%程度を目標としています。
マツダ(7261)
乗用車や商用車の製造・販売を行う自動車メーカーです。1920年に設立され、広島に本社を置いています。主に日本、アメリカ、ヨーロッパなどで事業を展開しており、動的デザインや高効率技術などで知られています。
25.3期の会社予想売上高は5.0兆円(前期比3%増)、経常利益は1,900億円(同41%減)を見込んでいます。北米市場での販売が好調ですが、その他市場での販売減などが重しとなり、期中業績見通し見通しの下方修正を実施しました。
安定的な配当を基本方針とし、配当性向は30%以上を目標としています。会社計画によると、今期は前期(24.3期)に実施された記念配当分が減配になる見通しですが、普通配当では横ばいとなる予定です。
日本精工(6471)
ベアリング大手で精密機械部品の製造・販売を行う企業です。自動車部品や産業機械向けの製品を提供し、世界中で事業を展開しています。
25.3期の会社予想売上高は7,900億円(前期比0.1%増)、税引前利益180億円(同32%減)を見込んでいます。世界的な自動車生産台数の減少やコスト増が重しとなりました。価格転嫁の推進や販売体制のスリム化などで、構造改革に取り組んでいる最中です。
安定的な配当を基本方針と、配当性向は30%~50%、DOE下限2.5%を目標としています。なお会社計画によると25.3期は、1株当たり年間34円と、前期の同30円から増配が実施される予定です。
▽当ページの内容につきましては、SBI証券 投資情報部長 鈴木による動画での詳しい解説も行っております。東証プライム市場を中心に好業績が期待される銘柄・株主優待特集など、気になる話題についてわかりやすくお伝えします。