この記事は2024年5月19日に「第一生命経済研究所」で公開された「出生数減少はまだ止まらない」を一部編集し、転載したものです。

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同等ペースの減少で2025年出生数は65万人:早くも低位推計割れが視野
出生数の減少に依然として歯止めがかからない。6月にも公表される2024年出生数(確定値、日本人)は70万人を割れる見込みだ(既公表統計から68.7万人程度と予測、前年比▲5.5%)。また、速報値ベースでは2025年1、2月の出生数が公表されているが、前年同時期と比べて▲5.4%。減少に歯止めはかかっておらず、2025年の出生数も減少が予想される。
年間を通じて1-2月と同等の減少率が続いた場合、2025年の出生数は65.0万人程度となる。2023年に公表された社人研の人口推計における悲観シナリオである「出生低位仮定」の値(2025年:65.8万人)を早くも下回る可能性が出てきている。
筆者は出生数減少の要因がコロナ禍である、との説明に疑問を呈してきた(Economic Trends「子どもを持つ選択は「ぜいたく」になったのか?」(2022)など)。2025年に入ってもなお出生数の反転がみられない中、その説明は一層難しくなってきているように思う。

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第一生命経済研究所 経済調査部 主席エコノミスト 星野 卓也