この記事は2026年8月28日にSBI証券で公開された「高成長期待、52週高値比大幅下落し、割安感増の「AI・半導体」7選」を一部編集し、転載したものです。
目次
高成長期待、52週高値比大幅下落し、割安感増の「AI・半導体」7選
今回の「日本株投資戦略」では、引き続き株式市場で「主役の一角」を務めることを期待される「AI・半導体」関連銘柄を再吟味しました。東証プライム市場の同関連銘柄(3月期決算)の中から、前年同期比の四半期増益率が高く、今後も高成長が期待されているものの、株価が大きく下がり、予想PERが低下してきた銘柄をご紹介したいと思います。スクリーニング条件の詳細は図表の脚注に示しました。
調整が進み、「AI・半導体」関連銘柄の現在位置を探る意味が出てきた?
8月相場も終盤を迎え、来週からは9月相場が始まります。6月下旬以降大きく下げていた「AI・半導体」関連銘柄の多くは、一時の安値に比べ、値を回復していますが、高値奪回には程遠い銘柄が多いようです。
しかし、株価の調整が進んだことで、投資妙味を吟味してもよい銘柄が増えています。例えば、下の図表のキオクシアホールディングス(285A)ですが、株価が一時、高値に対して「半値・8掛け・2割引き」の水準まで下げ、多少値を回復した今でも高値の「半値以下」の株価水準に甘んじています。しかし、市場予想純利益(2028年3月期)ベースでのPERは3.7倍(8/26)と非常に低水準となっています。リスク要因の織り込みがかなり進んだと考えることはできないでしょうか。
★スクリーニング条件
(1)東証プライム市場上場の3月決算銘柄
(2)時価総額1,000億円以上
(3)予想EPSを公表するアナリストが2名以上(Bloombergベース)
(4)7/21(火)~8/10(月)に決算発表
(5)2027年3月期第1四半期純利益が前年同期比で黒字転換、または50%超の増益
(6)8/27(木)時点の今期(2027年3月期)、来期(2028年3月期)市場予想純利益(Bloombergコンセンサス)がともに前期比20%超の増益予想
(7)来期(2028年3月期)市場予想純利益ベースのPER(時価総額/予想純利益)が30倍未満
(8)8/26(水)終値の52週高値比下落率が30%超
(9)取引所または日証金、当社による信用規制・注意喚起銘柄を除く(空売り規制銘柄は除きません)
掲載銘柄は上記条件をすべて満たしています。掲載の順番は52週高値からの下落率(8/26時点)が大きい順です。
一部掲載銘柄を解説!
TOWA(6315)~海外で稼ぐ、半導体製造装置メーカー
◎後工程のモールディングを担う製造装置メーカー
TOWAは東証プライム市場に上場しており、時価総額は1,752億円です(※1)。
京セラ(6971)、村田製作所(6981)、任天堂(7974)などと同じく、京都に本社があります。
祖業は「超精密金型」と「半導体製造装置」の製造販売です。現在では、「半導体製造装置事業」、「メディカルデバイス事業」、「レーザ加工装置事業」を展開しています。主力は全体の売上高の93.5%(※2)を占める「半導体製造装置事業」で、モールディング装置などを扱っています。
モールディングとは半導体製造の後工程に属しており、ウエハから切り分けたチップを樹脂で封止する作業です。配線を終えたICチップを樹脂で覆い、外部の湿気・衝撃・汚れからチップを守ります。生成AI向け半導体で引き合いが強い超広帯域メモリ(HBM)の量産に対応した装置を製造しています。
※1:2026年8月27日時点。
※2:2027年3月期第1四半期の売上高より算出。
◎第1四半期は増収効果で黒字転換
8/6(木)に発表された2027年3月期第1四半期の売上高は161億8,300万円(前年同期比100.3%増)、営業利益は22億1,200万円(前年同期比で黒字転換)でした。前年同期は米国関税政策の影響により、顧客の設備投資が慎重になり、大幅な減収、赤字となりました。ただし、2026年3月期第2四半期には黒字転換しており、今期第1四半期の決算も、前年同期比では黒字転換ですが、サプライズ感は乏しいといえます。
通期の業績予想(売上高:640億円、営業利益:102億4,000万円)に変更はありませんでした。第1四半期時点での会社計画の進捗は売上高が25.2%、営業利益が21.6%です。
年間の1株当たり配当金の予想は24円で、前期比4円の増配計画です。予想配当利回りは1.02%です(※3)。
※3:2026年8月27日の終値をもとに算出。
◎株価はさえず、サプライズに期待したい
前述のとおり、今回の第1四半期黒字転換のサプライズ感は強くないと思われ、通期業績予想についても、上方修正はありませんでした。決算発表を受けた8/7(金)の終値は2,532円(前日比-11.4%)の大幅安となりました。半導体関連銘柄に対する市場の目線は高くなっており、同社の決算内容は物足りなさを感じさせたのではないかと思われます。
一方で受注高の推移は好調で、四半期ベースでは過去最高となりました。2026年6月末時点の受注残高は362.8億円で、3月末時点の301.4億円よりも20.3%増加しています。将来の売上につながる受注残高の増加は注目ポイントとして挙げられます。次回の決算発表では、「積み上がった受注残高を消化できているか」「受注が売上高の増加につながり、サプライズ感がある決算を発表できるか」が焦点になりそうです。
最後に、為替リスクには注意が必要です。2027年3月期第1四半期の海外売上高比率は87.7%でした。海外比率が高いため、円高に振れた際に収益を減少させる要因となります。
CKD(6407)~半導体製造装置の「蛇口」と「圧力調整」を担う
◎「自動機械」と「機器」の二本柱を持つ総合自動化メーカー
1943年に名古屋市で「日本航空電機」として設立され、1945年に「中京電機」へ改称しました。1947年に真空管製造機を手掛け、自動化装置メーカーとして出発。その装置に組み込むソレノイド(電気を流すことで磁力を発生させ、その力で機械的な直線運動や動きを作り出す電磁機能部品)を外販したことから機器事業へ広がり、現在は「自動機械」と「機器」の二本柱を持つ総合自動化メーカーです。
2026年3月期の売上高は1,578億8,600万円です。うち、自動機械部門が約12%、機器部門が約88%を占めています。同期の営業利益196億4,000万円の内訳(連結消去前)は自動機械が約20%、機器が約80%を占めます。自動機械は医薬品・食品の包装機やリチウムイオン電池の巻回機などを製造。機器は工場の空気圧機器や、液体・ガスの流れを精密に調整する流体制御機器を扱います。
半導体工場では、洗浄、成膜、エッチングなどの各工程で、薬液や特殊ガスを漏らさず正確な量だけ流す必要があります。同社のバルブやレギュレータ、真空機器は、いわば製造装置内の「蛇口」と「圧力調整」の役割を果たします。生成AI関連需要の拡大に伴う半導体設備投資が、同社の成長を支えています。
2026年3月期の海外売上高は連結売上高の36.0%です。全社売上高に対し、「中国」が16.1%、「その他アジア」が14.5%、「その他」が5.4%を占めています。日本は64.0%でした。海外売上高の約85%を中国とその他アジアが占めており、「日本とアジアの設備投資に強い会社」と捉えられます。半導体投資拡大時の業績上振れが大きい一方、中国を含むアジアの設備投資停滞や為替変動の影響も受けやすい構造です。
◎業績予想を上方修正
8/10(月)に2027年3月期第1四半期決算を発表しました。売上高491億800万円で、前年同期比35.5%増加し、営業利益も80億3,200万円と同112.9%増加しました。半導体関連市場向けの旺盛な需要で機器部門の売上高が45.4%増え、売上高営業利益率も16.4%(前年同期は10.4%)へ上昇しています。会社は通期予想を売上高1,800億円から1,930億円(前期比22.2%増)に、営業利益245億円から285億円(同45.1%増)へ上方修正しました。半導体市場の好調が要因です。
年間配当については、配当性向40%を目安にしています。今期の予想1株配当金は期初に95円でしたが、業績予想上方修正に合わせ1株112円に修正されています。株価は6/23の本年高値8,330円を記録後、7/29・7/30に一時4,975円まで下げました。足元ではやや落ち着きを取り戻していますが、8/26(水)終値は高値から33.3%下げており、予想PERは20倍を割り込んでいます。
▽当ページの内容につきましては、SBI証券 投資情報部長 鈴木による動画での詳しい解説も行っております。東証プライム市場を中心に好業績が期待される銘柄・株主優待特集など、気になる話題についてわかりやすくお伝えします。






