2014年12月19日、アンダーソン・毛利・友常法律事務所(東京・港)と、ビンガム・坂井・三村・相澤法律事務所(同)は2015年4月をめどに経営統合を行うと正式に発表した。日経新聞(同日付)によると、これまで国内第5位であったアンダーソンは356名の弁護士数となり、西村あさひ法律事務所の468名に次ぐ国内第2位の規模となる。

弁護士数の増加により法律事務所間の競争も激化

司法制度改革が始まった1999年から弁護士数が急増。1999年に1万6千人程度だった弁護士数が、今や3万3千人を越え、約2倍に増加した。弁護士の数が増えたため、弁護士間の競争も非常に激しい。外国の法律に携わる外国法事務弁護士による法人設立も可能になっているだけでなく、公認会計士の集まりである大手会計事務所が弁護士法人を相次いで開設するなど、法律事務所間の競争も年々激しくなっている。弁護士の全体数が増えたため、年々業務の単価も低下傾向にあり、テレビCMを打つ法律事務所も出てきており、競争の激化が止まらない状態だ。

法律事務所が取れる戦略は

法律事務所の生き残りのためには取扱業務の数を増やしたり、高い報酬が見込めるより付加価値の高い業務を取り扱う必要がある。今回のアンダーソンとビンガムとの経営統合の目的もそこにある。

アンダーソンは米リップルウッド・ホールディングスによる旧日本長期信用銀行(現新生銀行)の買収に際してはリップルウッド側の代理として活躍する等、金融機関や外資系ファンドとのつながりが強い。一方、ビンガムはマイカルの民事再生を手掛ける等倒産・事業再生に強く、地方銀行とのつがなりが強い。

アンダーソンは倒産・事業再生に関する知見を、ビンガムは今後再編が進むと予想される地方銀行や有力企業のM&A業務アンダーソンの力により進出することで、相互に強化を図るというもの。国内第5位のアンダーソンと、中堅事務所であるビンガムとが経営統合し、より高い付加価値を提供しなければならないほど、弁護士業界は生き残るのが厳しい状況にある。