◉投資家ビザ概要

ニュージーランドの投資家ビザは「インベスター・プラス・カテゴリー」と「インベスター・カテゴリー」の2つに分かれています。端的に申し上げますと「プラス」カテゴリーは投資金額要件が大きい代わりに年齢制限や語学力を問われないのに対し、もう一方のカテゴリーでは、投資金額要件が少ない分、より長期の投資期間、65歳以下であること、英語能力の証明などが必要となります。

《投資家ビザ:主なポイント(NZ移民局HPより抜粋)》

IELTS(アイエルツ)とはイギリス、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドへの留学や移住申請に広く採用されている英語試験で「リスニング」「リーディング」「ライティング」「スピーキング」の4つの科目で構成されています。テストは9点満点で平均6.0~6.5が大学の入学基準となっています。IELTS平均3は英検3級程度、TOEICの360点程度をイメージしてみてください。

これ以外にビザ申請者は健康診断、人物審査をクリアする必要があります。

また、「インベスターカテゴリー」では申請の際、ポイント制を採用しており、得点の高い申請者から順に審査を経て永住権が承認される仕組みとなっています。得点は英語能力の高い人、年齢の若い人、ビジネス経験の長い人、投資金額の大きい人により多く付与される仕組みでこの辺りにもNZの合理的なビザ政策が反映されています。

◉投資家ビザカテゴリーで対象となる投資とは?

一口に「投資」と言っても、どんな投資がこのビザの対象となるのでしょうか?

《容認されうる投資一覧》
•    NZ政府または地方自治体により発行された債券
•    NZDX(NZ証券取引所)に流通しているNZ企業により発行された債券
•    BBB-以上の格付けを取得したNZ企業により発行された債券
•    上場、非上場、マネージドファンドを含むNZ企業の株式
•    NZの登録銀行(商業銀行)により発行された債券または株式
•    住宅地開発への投資

投資家ビザはNZの資本市場と地場産業の発展を目指して設計されています。そのため申請者の個人的使用とみなされる投資については「容認されうる投資」と認定されません。全ての投資はNZ国内において、NZドル建てで投資される必要があり、NZの法律に沿った方法で運用・管理されることが重要です。

◉意外と低い?投資家ビザのミニマム要件

ここまでニュージーランドの永住権の一つ、投資家カテゴリーについて概略をお話させていただきました。他の国と比較して永住権の最低投資要件・投資期間・投資期間など、意外とハードルが低いと感じていただけたのではないでしょうか。もしこの条件に合致しない場合、永住権とは異なりますが65歳以上向けの「退職者向け長期滞在ビザ」(期限2年、更新可能)が検討に値するかもしれません。

また日本人はNZにビザなし(いわゆる観光ビザ)で3ヶ月間滞在することが出来ます。投資や移住に関心がある方にはぜひ一度実際にNZを訪れていただくことをお薦めします。

《投資家ビザの承認状況》

(申請者数、Ministry of Business, Innovation & Employment NZの公表レポートより抜粋)

次回以降引き続きビザの話題として、経営者向けの「起業家ビザ」、ビジネススキルを備えた人を対象とした「技能移民ビザ」についてお話したいと思います。

BY M.W

ニュージーランドではイミグレーション(入国・移民等)に関してアドバイスをするためには認可されたライセンスが必要です。本寄稿は一般的な情報の提供を意図しており個別のアドバイスを行う目的はありません。

【参考文献】
New Zealand Now
Immigration New Zealand
Doing Business
Overseas Investment Office
Ministry of Business, Innovation & Employment NZ

photo credit: Chris Gin via photopin cc