今回は、個人投資家に勧誘が来るような新規公開株があまり儲からない理由について書きたいと思います。結論から言いますと、新規上場による期待によって過大評価されている場合が多いので、その後に値下がりするパターンが多いです。また、本当に収益が期待出来そうな目玉銘柄については、まず大口投資家に勧誘が行く事が多いので、個人投資家にまで勧誘が廻ってくるような銘柄は、あまり魅力的でない場合が多いと言えるでしょう。それでも新規公開株に買いたい場合は、新規公開株の値動きの特徴を利用した投資手法が重要になるでしょう。
【参考】
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◉新規公開株とは
新規公開株とは、上場していない株式会社の株式を証券市場において売買出来るように公開する事で、IPO(Initial Public Offering)とも呼ばれます。
企業が公募価格を提示し、購入希望者が多い場合は抽選になり、当選すると新規公開株を買え、上場後に売却出来るようになります。
新たに上場する企業は多かれ少なかれ世間の注目を浴びる上、新規上場株が大幅に値上がりする可能性を考えるとロマンもあるので、注目する投資家の方も多いでしょう。また、証券会社も公開株式への投資家を集める為に営業をかけるわけですが、こうした新規公開株への投資は果たして経済合理的な行動なのでしょうか。
◉上場直後は株価が下がる事が多い
一般的に新規上場株の初値は公募価格を超える事が多く、その後、長期(2~3年)に渡って利益率が低い状態が続く事が多いという実証報告が多数あり、金融経済学においては前者が公募価格に対してのアンダープライシング、後者は公募価格に対してのオーバープライシングと呼ばれ、アノマリー(既存の理論からは説明出来ない現象)として分析の対象となっています。
オーバープライシングとアンダープライシングとして分り易い例として、2012年5月にNASDAQに上場したFacebookのチャートを見てみましょう。Facebookの公募価格は38ドルに対し、初値でそれを上回る42.05ドルが付き、その後1年以上に渡って公募価格を下回る価格が付き続きました。
参考1:
フェイスブック上場、初値42ドル 時価総額9.1兆円(日本経済新聞)
参考2:
Facebookのチャート(Yahoo! Finance)
新規公開株にアンダープライシングやオーバープライシングが起きやすい理由は何でしょうか。様々な仮説と実証実験がありますが、ここでは有力な説を元に、新規公開株への投資で利益が出にくい理由を検討してみましょう。