2004年の利上げプロセスを辿ると今回のタイミングが見えてくる
2014年12月のFOMCでは、市場の事前予想であるpatient(忍耐強く)とconsiderable time(相当の期間)という二つの言葉が併記され市場にとっては都合よく理解できる材料を与えることとなり株は大幅上昇という結果になったが、実はこうした言葉遊びのような文言の変更や削除といったことは既に2004年のグリーンスパン議長時代の利上げにも行われており、ある意味で歴史的な実績のある文言いじりともいえるのだ。
したがって経済状況は今とは大きく異なるものの、2004年当時の利上げまでのプロセスを見るとこの先の動きの大きな参考になるといえる。2004年の場合1月に「かなりの期間」という文言を削除し、同年5月には「忍耐強くいられる」を削除、そして6月30日にFFレートを1.25%利上げするに至っている。
現状と比較した場合、現段階は2004年1月の「かなりの期間」を削除した状況より先に進んでおり、同年5月の「忍耐強くいられる」を削除する前段階にあると考えることができる。したがって、このプロセスをトレースするとすれば、今年も6月、遅くとも7月に利上げが実施される可能性は極めて高いといえるのではないだろうか。
シェールガス関連が利上げを疎外する新たなリスク要因
一方、原油価格の下落が今年最大の利上げ阻害リスクとなる可能性も浮上し始めている。まず原油価格の下落でシェールガス関連のジャンク債が大きく値を下げていることがあげられる。この先さらに原油価格が下落を試すようなことがあるとすればジャンク債の中でも既に18%程度をしめるシェールガス関連のエネルギー系ジャンク債がデフォルトに陥る可能性も高く、危惧される状況となっている。
また、米国内のシェールガス事業者は開店休業状態に追い込まれているところも多く、本格的にレイオフが始まっていることから雇用統計の数値結果にも悪影響を及ぼすことが心配されはじめている。こうしたリスクが一気に顕在化することになると、FRBの利上げが先送りされることも考えられ、原油価格の動向はこの夏場まで注視される状況である。
利上げ後は年末に向けて確実にドル高へシフト
米国の利上げが4月になるのか6月、7月になるのかさらにずれ込むのかについては現状では依然確定できないが、株価は一旦事実売りがでるとしても、為替に関しては金利差からくる長期視点でのドル買いが確実な状況であり、利上げが実施されれば年末に向けてドル円は再び上昇することが予想される。
但し、2004年を見る限り事前段階である1~4月はかなりボラティリティの大きな市場となり株も為替も上下動を繰り返す可能性が高いので要注意の状況が続きそうだ。
(ZUU online)
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