J-REIT(Jリート)配当利回り3.1%は低いのか?

スプレッドが3%を割り込んでしまった今時点の利回り感をもう少し踏み込んで考察してみる。一見配当利回りが3.1%というのは低い利回りのように見える。そこで投資家が信用取引で借入金を併用した場合、出資額(エクエティ)に対してどの程度の利回りが生じているのか具体的に見てみることにする。利率については上記の2014年11月時点の配当利回り3.1%、金利0.4%を採用する。またLTV(Loan to Value:有利子負債/総資産)は50%とする。

LTVを50%とすると、100億円の投資に対して、自己資金(エクイティ)が50億円、借入金(デット)が50億円となる。配当利回り3.1%のため100億円の投資に対し3.1億円の配当を得る。一方、金利は0.4%のためデット50億円に対し0.2億の支払利息となる。よって配当から支払利息を控除した利息控除後の利益としては3.1億円-0.2億円=2.9億円となる。これはエクイティ投資50億円に対して5.8%の利回りとなる。このようにエクイティ利回りまで考慮すると、スプレッドが2.7%まで落ち込んだとしても、充分レバレッジが効いている。そのためスプレッドが3%を割り込んだ2015年以降もJ-REITはまだまだ投資価値がありそうだ。


2015年J-REIT(Jリート)市場の好材料

またその他にもREITへの投資の好材料はある。都心5区(千代田区、中央区、港区、新宿区、渋谷区)のオフィスの空室率は2014年11月時点で5.6%であり、前年同月の空室率7.5%に対して25%も改善している。空室率の低下は賃料上昇の先行指数であり、2015年以降賃料の上昇が期待される。ただ今のところ賃料は上昇の期待感だけであり、まだ実感がわかない。現実的な賃料上昇には空室率が5.6%からもう一歩踏み込むことが必要だ。

一般的にはオフィスの空室率については4%台に入ってくるとビルオーナーからの賃上げ交渉がしやすくなると言われている。そのため更に空室率が改善して5%を割り込んでいけば、オーナーも強気になり、ここ数年間我慢していた賃上げ交渉も再開されると予想される。既存ビルのテナントの継続賃料も上がり、配当利回りの分子が上昇すればスプレッドも再び3%台へ改善も期待できるところだ。

景気回復によりオフィス需要が高まることで、さらなる空室率の低下が期待できるところだ。そうすれば2015年もREITの価格の上昇基調は今後も続くであろう。

(ZUU online)

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