米国の住宅市場が拡大してきた背景
米国の住宅市場が拡大してきた背景には、主にリーマンショック後の金融政策と、それによる景気の回復があると考えられる。
リーマンショック後、FRBは事実上のゼロ金利を維持し、3回にわたり量的緩和を実施し、市場に資金を供給してきた。それに伴い、企業の業績も回復し、個人の雇用や所得も改善した。
失業率は、2010年には9.6%にまで悪化したが、2014年12月には5.6%にまで改善している。個人所得も、2009年の12兆821億ドルから、直近データの2014年11月には14兆9,300億ドルへと、1.24倍に増加している。また金利の低下で住宅ローンも借りやすくなった。
このように、個人の生活の安定と金利負担軽減で、住宅需要が増加し、住宅市場は拡大してきたと考えられる。
今後の住宅市場の見通し
今後の中長期的な住宅市場の動向についても、FRBの金融政策に注目する必要がある。米国経済は好調なため、FRBは昨年量的緩和第3弾を終了している。さらに景気引締のために、今後事実上のゼロ金利政策を解除し、利上げすることが見込まれる。そうなると、金利が上昇して景気は減速し、住宅着工件数も増加ペースが鈍化していく可能性がある。
なお住宅着工件数と同時に、建築許可件数も発表されている。これは、着工前に建築許可が必要な地域で許可が出た件数を表すものであり、その意味で着工件数の先行指標となる。
この前月比は、11月が-3.7%、12月が-1.9%と減少が続いている。3カ月移動平均でも、9月の2.1%から12月の0.1%へと増加ペースが鈍化している。ここからも着工件数の減速の可能性が考えられる。
住宅の増加に伴い、建築資材や家具製品等の需要が増加し、住宅関連業界が潤い、雇用や所得が拡大し、個人消費の拡大にもつながる。経済全体への影響が大きいだけに、住宅市場の動向には引き続き注目する必要がある。
(ZUU online)
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