Bloomberg 代表石橋 邦裕 (いしばし くにひろ) (写真=宮崎二郎)

経済・金融情報サービスの大手として今や、グローバルにも存在感を増しているブルームバーグ。ロイターやダウ・ジョーンズ(ダウ)という世界的な経済・金融情報の大手と鎬を削り合う一大勢力ではあるものの、設立からはまだ33年と、1851年に創業したロイターと比べれば、まだまだ新興の経済・金融情報提供会社と言っていいだろう。

一方、ロイターやダウなど古参の経済・金融情報提供企業への対抗を目指すのが、2007年にロイターを買収してトムソン・ロイターとして事業展開を加速させてきたトムソンやブルームバーグだ。より質も高く、より深い洞察を提供する情報がビジネスの行く末を左右する重要な要素でもあり、ビジネス情報分野での激しい競争からも目が離せない。

その際に踏まえなければならないのは、同社のコア・サービスともいえる「ブルームバーグ・インテリジェンス」。独自の視点から洞察を加えたビジネスに有用な情報の提供を図るもので、アナリストが自身の担当産業についてデータ、分析、コメントを提供する。併せて、セミナーなども積極的に開催しており、同社の知見を広く知らしめる取り組みにも積極的だ。

今回、経済・金融情報提供企業の雄として世界に躍り出たブルームバーグ日本の代表である石橋邦裕氏に、ブルームバーグ・インテリジェンスの2015年経済・産業セミナーが開催された機会に、今後の同社の展望について話しを伺った。


“女性の社会進出”など透明性向上の目標

“情報”提供の姿勢として石橋代表は「市場の透明性を高めることに使命感を感じている」といい、多くのデータを収集したり、ニュースを配信したり、他者に左右されない意見を発信していきたいという基本的な姿勢を明らかにした。

同氏が取り組みの具体例として挙げたのは、女性の社会進出などについてだ。安倍政権でも中心的な政策の一つに掲げられており、上場企業に対して少なくとも1人の女性役員を求めるなど「女性役員・管理職の増加」や、出産・子育てを仕事を辞める理由にさせないことを目指す「職場復帰・再就職の支援」の推進が図られるなど、社会的な注目度も高い。

ほかにも、従業員の人種や年齢も考慮した上で、より多くの女性を雇う企業ほど、利益率も高くなるといった調査結果も公表されており、業績の向上を目指す視点からも重要性が増していきそうだ。

石橋代表はこの点について「安部総理は女性の管理職の割合を将来的に3割にしたいと行っていますよね。では実際に、どの程度進んでいるかという点をブルームバーグのデータを使って知ることができます」と解説。

また、「そういった情報を開示していくことによって社会が良くなっていくと考えています。なので業績にとらわれず、日本の金融や社会に貢献できるような会社になっていければ」と同氏は話す。


“ニューエナジーファイナンス”で目指す経済と環境の両立

もう一つの大きな問題は環境問題とも深くかかわるエネルギー分野。二酸化炭素(CO2)の排出とそれに伴う地球温暖化といった観点からだけではなく、CO2の排出権取引や新たなエネルギー源を活用できないかと、世界中で熱い視線が注がれている。

トヨタ自動車などが主導する水素エネルギー社会の実現についても、大きなくくりでは同じと言っていいだろう。

もちろんブルームバーグでも、取り組みを進めており、ブルームバーグ・ニュー・エナジー・ファイナンスを設置して、推進。バイオマスなど新エネルギー活用や、エネルギー貯蔵、電気自動車、スマートグリッドといった産業分野での情報の提供を進めている。

石橋代表も「『エネルギーどうするの?』という話が出ることが多くなりましたが、しっかりとした情報を集めるのは容易ではなく、多くの会社が正確な情報を集められずにいます」と指摘。

さらに、「そういった時、(ブルームバーグ・ニュー・エナジー・ファイナンス・サミットなどの)一つのテーマにそったイベントを開催し、100人くらいの識者を集めて議論する場を提供することができます。そういった取り組みもやっていきたいことの一つ」と、世界経済を情報面でリードしていくブルームバーグの展望が石橋代表の口から語られた。

経営・投資の判断に必須の情報を提供する組織として、今後も確かなインテリジェンスを生み出していけるか、問われていきそうだ。

(ZUU online)

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