BRICsと呼ばれた新興国の中でも、経済が低迷するブラジルとロシアはそのグループから離脱しかかっており、今や残されたインドと中国が世界経済の成長に一役買っている。そんな中でも特に注目を浴びるのがインドである。
今後も人口増加が見込める主要新興国はインドだけ
20世紀は北半球に位置する2割の先進国が8割以上のGDPを稼ぐ時代だったが、21世紀は人口
に比例してGDPが配分される時代になりそうだ。これは単に新興国が豊富な労働力での生産拠点としてだけではなく、消費国としても注目されているからで、十億人を超える人口を誇る新興国は一大消費国にもなろうとしているのだ。この観点から今後インドは最大の有望国となっていることがわかる。
国連の発表している人口統計データによると、2013年に12億5,200万人の人口を誇るインドは、2030年にも中国を抜き去り世界最大の人口を抱える国となることが予想されている。さらに、2050年には16億2,000万人へと拡大し、中国に2億4,000万人以上の差をつける超大国になろうとしているのだ。
中国は、2030年ごろをピークに人口が減少し、2050年までに6,800万人の人口減少が予想されると同時に、高齢化も加速する。またロシアもそれに継ぐ人口減少国で90年時点に比べて5000万人以上の減少が見込まれている。個人消費が国内のGDPに大きなウェイトを占める中、人口減少が見込まれる国は経済成長の停滞が見込まれており、新興国の中ではインドが群を抜いて成長株であることが伺える。
インド人民党の勝利で改革が加速
2014年5月ナレドラ・モディ氏が率いるインド人民党が下院議員選挙に圧倒的な勝利を収め、単独政党として、戦後のインド史上30年ぶりの単独政党が議会議席の過半数を確保したのは記憶に新しい。人口の65%が35歳以下のインドはモディ政権の下で新たな改革を進めようとしている。
まず、モディ政権は州政府の意見を積極的に取り入れることで経済成長と貧困の撲滅、教育や健康の問題を全国規模で解決しようとしている。インドは外からみると一つの国に見えるが、実に複雑な多民族国家であり、州政府を纏め上げることが極めて難しく、新政権の手腕が試されるところだ。
また、行政改革の実施により煩雑な手続きを要した国内外の企業の会社設立のプロセスが大幅に簡略化されようとしており、ほとんどの会社設立は今後、州単位でワンストップでの手続きが可能となる見通し。