Greece and EU
(写真=Thinkstock/Getty Images)

ユーロ圏財務相(ユーログループ)が2月24日、ギリシアのチプラス政権から提出された改革案を大筋で承認し、ギリシア政権への金融支援の延長が確実となった。ギリシアでの政権交代の後、金融支援の条件として求められていた緊縮財政政策からの脱却や、ユーログループからの金融支援の延長をめぐって難航していた交渉も、これにより集結する見通し。ギリシャ政府の財政破綻が遠のき、欧州の金融システム崩壊も当面の間は回避された格好だ。

ギリシャへの金融支援の4カ月延長については、ユーロ圏財務相が20日にブリュッセルで開催した会合で、暫定的に決まっていた経緯がある。ユーログループからの金融支援を得る代わりにギリシャは、支援期間中の具体的な政策リストの提出を義務付けられていたことから、同国政府は24日までに、改革案を欧州委員会、欧州中央銀行(ECB)および国際通貨基金(IMF)に提出。同改革案をユーログループ閣僚が検討し、このほど、承認された。

今回の承認を受けて、ギリシャ政府の財務相当局者は、EUやIMF側と、不足資金の手当てについて、直ちに協議を開始する姿勢を示した。また、ユーログループとギリシア政府の合意を受けてECBは、ギリシア国内の銀行からの預金流出を食い止めるための資本規制導入の必要はないとの見解も示した。


概ね評価された改革案

改革案は、現在進行中あるいは完了した民営化計画を後退させないとし、具体的には税制改革や政府支出の見直し、公的部門の賃金体系の改革、年金基金改革などが盛り込まれている。EUとIMFの支援団は年金支給額のさらなる引き下げを求めていたが、ギリシア政府は、基金の整理を不正受給への抜け穴や早期退職の誘因を取り除くこと約束しつつ、年金支給額の引き下げ回避を狙った妥協策を探る姿勢だ。

また、国内の銀行については、健全な商業上および銀行業の原則に基づいた経営を確実にすると表明し、銀行の業務に政府が介入しないとの立場を明らかにした。

EUなどの受け止めも、おおむね良好な様子だ。欧州委員会のドムブロフスキス副委員長とモスコビシ委員(経済・財務担当)は、ギリシャの提出した改革案を「十分に包括的で、支援についての検討を良い結論に導くための妥当な出発点となる」と評価。ECBのドラギ総裁も、慎重な姿勢を崩してはいないものの、ギリシャの改革案を歓迎する一方で、過去の約束を放棄しないようにと付け加えた。ほかにも、OECD・グリア事務総長によると、ユーロ圏諸国も前向きな反応を示しているとのことだ。

一方、IMFのラガルド専務理事は、改革案を十分な内容と評価しつつ、重要な箇所で具体的な言及が不足していると指摘。「文面は、改革を行う意思を明確な形で確約していない」とし、労働市場改革や年金、付加価値税政策などを懸念される分野として挙げている。


さらなる改革案を4月末までに再提示

ユーログループは、今回の改革案を承諾したものの、支援延長承認の条件として改革案の拡大を要求している。「迅速かつ有意義な結果が得られるよう、各機関と緊密に協力しつつ、現行の取り決めに基づき、改革案リストの拡大およびさらなる進展をギリシャ当局に要請する」と述べ、4月末までにさらなる改革案を作成・完了するよう求めた。

今回、大きく譲歩して、ユーログループの承認を得たギリシャだが、国内・与党からは「首相は選挙公約を果たしていない」との声が上がっている。選挙の際にチプラス首相が「緊縮策撤回」と「最低賃金を直ちに引き上げる」と公約していたことから、改革案の内容はこれらの公約を後退させたことになる。今後の国内での調整をどうすすめるかが一つの焦点になりそうな情勢だ。

新政権の仕事としてはさらに、「反汚職」との闘いが開始。反汚職担当相に任命されたパナギオティス・ニコルディス氏は経済犯罪を専門としてきた元最高裁検察官で、ギリシャの政治・経済に影響を及ぼす有力実業家らを対象にした汚職一掃作業を同氏がさっそく始めた。いぜんとして、EU諸国との緊迫感も残る中、今後も、ギリシャとEU諸国、国際機関との交渉の推移に注目が集まりそうだ。

市場の反応としては、24日のギリシャ株式市場は大幅上昇。銀行株指数は14%上昇した。ATG株価指数は2カ月半ぶりの高値圏にある。

(ZUU online)

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