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(写真=Thinkstock/Getty Images)

昨今、大手金融機関は、担当者が顧客に代わり資産を運用する投資一任サービス、「ファンドラップ」に力を入れている。各社がファンドラップの販売を推進する背景には、日本の金融リテールビジネスにおける売買手数料モデルからの脱却がある。


売買手数料モデルの限界

日本において長く続いている金融リテールビジネスは、株式や投資信託の売買における手数料を主な収益源としてきた。例えば、野村證券の本・支店取引に置いて1000万円の株式を購入すると、1000万円×0.6912% + 11,319円=80,439円の手数料が野村證券に入る。また、手数料が3%の投資信託であれば、1000万円の買付で30万円が金融機関の収益となる。上げ相場で顧客の売買が活発なときに限れば、金融機関の収益もかなり大きく、収益性の高いビジネスである。

しかし昨今、大手金融機関は各社とも、この売買手数料に偏ったビジネスモデルからの脱却を図っている。

まず大きな理由のひとつに、ネット証券、ネット銀行の普及である。ネット証券やネット銀行が提供する金融商品売買サービスは、大手金融機関に比べ手数料が格段に安い。手数料が安いネット証券を使えば、現物株式が大手証券会社に比べ1/30の手数料で買えるケースもある。投資信託も、ネット証券、ネット銀行で購入するとノーロード(売買手数料無し)の商品がたくさん選べる。大手金融機関の売買手数料は、その高さに見合った付加価値を出しづらくなっているのだ。

また、売買手数料をほぼ唯一の収益源としていることの弊害として、顧客ニーズをおろそかにした短期売買が発生することもあった。株式や投資信託を保有している顧客に対し、本当は売買の必要が無い状況であっても売買を勧め、短期売買が過度に行われていたのも事実である。非合理な勧誘に対し顧客本人、親族からのクレームも発生していた。そして、これらのクレーム・不満はインターネットの普及により世に広まりやすくなり、無理のある売買勧誘が金融機関の信用を失墜させるリスクは大きくなった。

さらに、売買手数料ビジネスは収益の変動が大きく、相場の良し悪しに業績が大きく左右される。上げ相場においては多額の収益を得られるが、相場が下降トレンド、低位安定となってしまうと顧客の売買意欲も鈍り、収益が大きく落ち込む。安定した業績を作ることが難しいビジネスなのである。