日銀の継続的な量的金融緩和政策により、2014年以降も安定的に円安が進行している。本来なら輸出拡大の利益機会が大きくなるはずなのに、依然厳しい経営状況に見舞われているパナソニック <6752> やシャープ <6753> などの国内弱電各社を尻目に、日立 <6501> 、東芝 <6502> 、三菱電機 <6503> など、国内重電各社の2015年3月期はいずれも過去最高益更新の見通しとなっている。国内電機業界は完全に勝ち負けが明確となる時代を迎えている中で、インフラ関連ビジネスにおいて大きな利益を上げる日立の存在が注目されている。


インフラビジネスで快走する日立

日立は今期、鉄道関連やエレベーターなど社会・産業システム部門が業績を牽引し快走している。当該部門の営業収益は第3四半期ベースで前年同期の125億円から317億円まで拡大した。三菱重工と事業統合し、2014年2月に新会社を設立した火力発電事業において、イニシアチブが重工側に移ったことに加え、中国需要の低迷による建設機械の減益などが響いている事業もあるが、総じて業績は順調に推移している。


鉄道ビジネスの拡大 ビッグ3との競争も視野に

日立の躍進を物語っているのは、直近の鉄道ビジネスでの活況だ。英国の高速鉄道向けの車両製造に加え、2月24日にはイタリアのフィンメカニカの信号・車両製造部門を買収すると発表し、市場で大きな話題となっている。

同社の鉄道ビジネスは8000億規模までの拡大が想定されており、ワンストップで最新の鉄道システムを提供するソリューションプロバイダーを目指す。世界の鉄道メーカーはドイツのシーメンス、フランスのアルストム、カナダのボンバルティアがビッグ3として有名な存在だが、今回の買収でその一角に加わることも視野に入ってきているといえよう。