リキッドオルタナティブ
(写真=Thinkstock/Getty Images)

近年、米国の投資信託市場では「リキッド・オルタナティブ」と呼ばれるリテール向けの商品が急速に拡大している。リキッド・オルタナティブ (Liquid Alternatives) とは、株式や債券などの伝統的資産とは異なる資産に投資する金融商品であり、運用戦略としては、株式ロング・ショート、マルチ、イベント・ドリブン、マネージド・フューチャーズ、グローバル・マクロなどがあり、一般的にはヘッジファンドによって展開されている。

株式や債券等の伝統的な資産運用を超え、それ以外のヘッジファンドや不動産等を投資対象とし、異なったリスクを持つ運用対象を組み込むなどして投資を行うことを総称してオルタナティブ投資と呼ぶが、日次で設定と解約が可能であるため流動性が高く、最低投資金額が低額であるなどの特徴を有することで、リキッド・オルタナティブという商品名称となっている。

米国市場では、リキッド・オルタナティブの運用残高は、2014年7月現在で3064億ドル(36兆円)にまで拡大している。米国の全投信市場の規模15兆ドルから見れば、市場シェアは依然小規模だが、その伸び率は5年で2倍近くに達する勢いとなっている。年金基金をはじめとする機関投資家も、ヘッジファンドからリキッド・オルタナティブへの乗り換えを積極的に行っており、個人投資家とともに市場の拡大に寄与していることがわかる。


毎日解約できる高い流動性が売り物

通常、ヘッジファンドは最低投資額が100万ドルからと高額であるものが多く、解約までには数ヶ月以上かかるという利用制限がかかっている。またマネジメント・フィーは投資信託に比べると高めに設定されており、平均して20~25%程度の成功報酬が別途発生する。解約について、国内では45日ルールなどが有名だが、30日程度から最悪の場合90日に及ぶ解約通知期間の設定などによって流動性が悪化するため、投資家にとってはリスク要因となる。一方、投資信託の場合、最低投資額はヘッジファンドに比べて小さく、毎日売買が可能となるため、この流動性が高い点が大きな違いといえる。

またマネジメント・フィーも小さく、なにより成功報酬が設定されていない点が異なる。ヘッジファンドのような手法で運用することができ、さらに投資信託としての機能を有するのがリキッド・オルタナティブの特徴だ。


リキッド・オルタナティブの運用戦略

リキッド・オルタナティブは、毎日の設定と解約が可能となる仕組みのおかげで、高い流動性が確保されている。ヘッジファンドの運用戦略すべてが適用になるわけではなく、一定の制限を受けるものの、新規に設定されているファンドではマルチ、株式ロング・ショート、マネージド・フューチャーズ、イベント・ドリブン、マーケット・ニュートラル、グローバル・マクロなどヘッジファンドの主要な運用戦略の多くを盛り込んだ商品が提供されている。

ただし、ヘッジファンドとの月次リターンを比較すると、ヘッジファンドには非流動性が確保されている分、パフォーマンスが若干高くなるインセンティブが与えられている。そのためグローバル・マクロやマネージド・フューチャーズなどといった、非流動性プレミアムの小さい運用戦略がこの投資信託に適したものとして選択されている。個人が投資できるヘッジファンド戦略投信という点が人気の秘密だ。


リキッド・オルタナティブのセールスチャネル

マッキンゼーが取りまとめたオルタナティブ投資に関する2012年の調査によると、大手金融機関の手数料収入におけるリキッド・オルタナティブの比率は、2010年には13%でしたが、2015年には25%まで上昇することが見込まれている。

また個人富裕層向けのビジネスの伸びが、機関投資家向けのビジネスを上回る予想となっており、個人を対象としてさらに拡大傾向が続くと予想される。UBS、ウェルズ・ファーゴ、モルガン・スタンレー、メリルリンチといった証券リテール大手は、こぞってこの商品の販売に注力しており、今後さらに拡大の余地があるだろう。

リキッド・オルタナティブについて、日本ではまだ一部の商品しか設定されていないのが現状だが、その流動性の高さから、国内でも人気を博する可能性は高く、リキッド・オルタナティブを利用したアクティブ運用の時代の到来が期待される。

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