ヘルスケアREITの注目点

ヘルスケアREITが注目を浴びる要因として考えられるのは、「ポートフォーリオの分散」、「市場の拡大」、そして「政策銘柄」として位置づけである。従来のREITはオフィスビル、商業施設、住宅、物流施設といった対象を保有し運用する形態が中心であった。だが、保有施設のポートフォーリオが同じ種類であると、どうしても価格変動が似た形になりやすい。その意味で、従来REITを保有している投資家がポートフォーリオの分散を目的としてヘルスケアREITに投資する可能性が考えられる。

また、賃貸住宅に特化しているREITはオフィスビルに比べ、入居者の変動が少ないために安定した賃料収入が見込め、結果として分配金が安定する傾向にある。有料老人ホームに特化しているヘルスケアREITでは、賃貸住宅以上に入居者の変動が少ないことが考えられ、安定して分配金を獲得できるはずだ。現在上場している、日本ヘルスケア投資法人が稼働率100%を維持していることからも、、ヘルスケアREITは安定した分配金を得られるREITとして注目されている。

また、高齢化社会の進展に伴い、有料老人ホームをはじめとした高齢者向け市場の拡大が見込まれる。みずほコーポレート銀行の調査によると、有料老人ホームが含まれる介護市場の規模は、高齢化社会の進展に伴い、2007年の6.4兆円から2025年の15.2兆円へと倍増するとの推計がある。

また、安倍内閣の成長戦略に医療関係の新市場の創出が掲げられているように、ヘルスケアREITは「政策銘柄」としての一面も持つ。民主党政権時代の2010年6月に閣議決定された「新成長戦略」の一つに医療ツーリズムの拡大がうたわれ、それ以来医療関係は一貫して国が支援する産業となっている。


海外では資産規模1兆円を超えるヘルスヘアREITも

日本では産声を上げたばかりのヘルスヘアREITであるが、海外では米国を中心に、カナダ、シンガポール等で上場している。特に米国ではHCP、Ventas、Health Care REITという3銘柄が非常に大きく、

例えば、HCPは1985年上場から約30年の歴史を持ち、2.6兆円(2013年12月現在、1ドル=120円換算)の資産を保有する巨大なREITとなっている。また、アジア最大のヘルスケアREITである、シンガポールのParkway life REITは、日本の老人ホームを大阪府、福岡県を中心に12都道府県で約40施設保有し、約1,300億円の資産規模(2013年12月現在、1シンガポールドル=87円換算)を持つ大型REITである。海外のヘルスケアREITの規模を考慮すると、日本のヘルスケアREITも今後の成長が予想される。


今後、第3、第4のヘルスケアREITが上場か?

日本の介護市場の成長性、海外のヘルスケアREITの規模から推定すると、今後、第3、第4のヘルスケアREIT上場が行われ、日本のヘルスケアREIT市場の拡大が予想される。(ZUU online 編集部)