負け組の不動産投資家に足りないものとは?
どんな世界にも共通して「勝ち組」と「負け組」が必ず存在する。
世界一の不動産市場に発展し、東京オリンピック開催という大きな追い風を受けさらなる成長の機運を見せている首都圏の不動産投資分野でさえも、負け組は存在するのだ。
勝ち組の投資家は、購入物件の利益を元手に、新たな物件を取得して資産を拡大する中、負け組の投資家はその経営計画が大きく狂い、所有物件が大きな負担となっている。
勝ち組と負け組の差は、ほんのわずかな差でしかない。その差とは、不動産投資の本質を正しく理解しているかどうかなのだ。
失敗する投資家が陥りがちなのは「不動産投資は経営の性格が強い」ということを正しく理解していないことである。単なる投資であれば、物件や賃料の上がり下がりだけに注目すればよいが、不動産投資は資産を入居者に貸すことで、利益を得る仕組みのため経営リスクを伴う。
このリスクに無防備なため、負け組となってしまうのだ。次の項目から具体的な不動産投資の経営リスクについて考えていこう。
長期空室を発生させてしまう3つのパターン
不動産投資の負け組に共通するのは「空室を甘く見ていること」に尽きる。当たり前すぎるくらい当たり前なのだが、勝ち組はこのリスクを徹底的に回避しようと努力しているのだ。
不動産投資で失敗する人の共通項は、①立地に妥協する、②ファミリータイプを選ぶ、③サブリースを利用しない(解約してしまう)、などが挙げられる。区分所有の場合は、このうち一つでもあてはまれば経営リスクが高くなる。さらに、複数項目あてはまれば、失敗と隣合わせといっていいだろう。
①立地に妥協する
同じ面積、築年数の物件なら、人気エリアの物件の方が取得金額は高くなる。負け組の投資家は、購入費用を抑えようと考え、立地に妥協してしまう傾向がある。
勝ち組の投資家は「不動産投資は立地がすべて」ということを熟知しているので、よほどの理由がない限り立地の悪い物件には手を出さないものだ。少々高くついたとしても、好立地を前提に物件選びを行うことが必要なのだ。
②ファミリータイプを選ぶ
同じ立地なら、賃料が高いのはワンルームよりも、ファミリータイプだ。負け組は、この部分だけに目を奪われて、ファミリータイプに手を出してしまうことがある。
ファミリータイプはワンルームに比べて、入居者を決めるのに労力がかかることも多い。将来性で考えても、首都圏では単身世帯の割合が高まっているため、ファミリータイプは経営リスクが高いと見た方が良いだろう。
もちろん、すべてのファミリータイプが悪いわけではない。ファミリー層に需要のあるエリアであり、競合物件との差別化がつけられるなら良いが、たいした理由もなくファミリータイプに手を出すことは、単に経営リスクを高めるだけだ。
③サブリースを使わない(解約してしまう)
空室リスクをなくすには、空室発生時も月々の賃料を補償する「サブリース」という仕組みを利用するのが一番だが、賃料の一部が差し引かれて入金されるため、利回りを高めようと解約してしまう投資家もいる。
好立地の魅力ある物件ならともかく、競争力がそれほどないにも関わらず、サブリースを解約してしまう、あるいは初めから利用せずに「長期空室」や「頻繁な入居者の入れ替わり」によって大きな負担を強いられる。このパターンにはまってしまう投資家は少なくない。
リノベーションイコール経営改善ではない
長期空室以外でよくある失敗パターンは、「経営コストを考えていなかった」というものだろう。
一番大きな経営コストは、リノベーション費用だ。長期空室が発生した際、不動産会社からリノベーションを薦められることも多いが、施工の選択がすべて「吉」と出るとは限らない。
入居者ニーズとかけ離れたセンスのないリノベーションをすれば、いくら費用をかけても、経営改善をすることはできない。依頼する場合は、過去にリノベーションによって賃料を上げた実績があり、デザイン先行ではなく入居者ニーズに合った施工を行う会社を選ぶべきだろう。
リノベーションは不動産投資家にとって最終手段である。入居者募集を依頼している不動産会社の営業力が足りないのではないか、今まで気付いていなかったPRできる物件価値はないか、そして周辺の新規物件にも注目し競合物件と比べて賃料設定が高くないか、などの複合的な視点で考え、それでも他に手段がないという場合にのみ選択すべきなのである。
そもそも、リノベーションが必要になるのは「長期空室が発生」するためだ。はじめから「長期空室リスクの少ない物件を選ぶこと」こそが、不動産投資を成功させる一番の解決策であるということを忘れてはならない。(ZUU online 編集部)
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