音声認識と人工知能の2つを組み合わせた業務支援システムが注目されている。これまで個々のオペレーターに限られていた会話の情報を、テキストデータ化し蓄積することでオペレーション全体で活用できるようになるからだ。

企業が音声認識と人工知能を活用し始めている

音声認識と人工知能による業務支援システムが多くの企業で導入され始めている。

三井住友銀行(三井住友フィナンシャルグループ <8316> )はIBM社の人工知能システム「ワトソン(Watson)」を導入し、国内コールセンターの支援を行うことを発表した。

このシステムは、コールセンターに寄せられた顧客からの質問を、テキストデータに変換してワトソンに入力すると、回答を検索して表示してくれる仕組みだ。オペレーターは回答をもとに顧客対応に当たる。これによってマニュアルを暗記する量が少なくなるだけでなく、回答に要する時間も短縮でき、効率化と顧客満足度の向上が期待できる。

ジャパネットたかたのコールセンター業務を担うジャパネットコミュニケーションズはアドバンスト・メディア <3773> の「AmiVoice Communication Suite」を導入している。(出典)「AmiVoice Communication Suite」は入力された音声をテキストデータに変換して業務効率改善に役立てることができる。

顧客への電話対応をテキストデータとして保存しておくことで、対応の漏れを無くすことができるほか、複数のオペレーターの対応をリアルタイムで表示し、全体を監督しながら的確な指示ができる。検証によると成約率の向上が見られたとされている。

住友ゴム工業 <5110> はフュートレック <2468> のスマートフォンを介した日中翻訳システムを中国工場に導入している。現地でのコミュニケーションを円滑にするのが目的だ。このシステムは、スマートフォンに向かって話した音声をクラウド上で処理して、翻訳した結果を再びスマートフォンに送信して音声とそのテキストを表示する仕組みだ。

日本電信電話 <9432> のグループもNTTソフトウェアが開発した音声認識と会話可視化技術を用いたソリューション「ForeSight Voice Mining」を導入している。

需要が増えるコールセンターと、オペレーターへの負荷

試算によると世界の消費者対応業務への投資は年間3500億ドルになるという。

これらの業務支援システムは、音声認識によって得られた会話データをテキストデータ化し、分析することによって顧客対応や翻訳の精度向上に利用している。

通信技術が発展するにしたがい、コールセンターの役割は重要度を増していくだろう。すでにオペレーターには高い言語能力やコミュニケーション能力などが必要とされ、世界的に人材確保が難しくなっている。今後、製品やサービスが高度になり、オペレーターにかかる負担は益々大きくなると予想される。

このような状況において、消費者対応業務を大きく効率化することができる音声認識と人工知能を用いたソリューションへの需要は大きく、これから更に市場が成長することが期待できる。(ZUU online 編集部)

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