以前の記事 「注目集める新たな資産運用法「融資型クラウドファンディング」 」の中で、融資型クラウドファンディングとは「お金を借りたい個人や企業などに対して投資家がサービス会社を通じて貸し出すことのできるサービス」であると説明した。
だが、融資型クラウドファンディングサービス会社はどのようにして7%以上もの年利回りを投資家に提供しているのだろうか。今回は、その具体的な仕組み・流れについて解説する。
融資型クラウドファンディングの仕組み
お金を貸し借りする仕組みはサービス会社によって少しずつ異なるが、ここでは「クラウドバンク」を例にして説明する。
図:クラウドバンクの仕組み
①融資申し込み
借入希望者(中小企業・マイクロファイナンス機関など)からクラウドバンクに融資依頼が入る。
②審査
クラウドバンクでは、提出された財務諸表をチェックし、融資先の担当者・社長と面談を行う。信用情報の調査に加えて、社長の過去の経歴、人柄、人間関係なども含めて調査する。また、必要に応じて、不動産・売掛債権などの担保や、代表者保証の付与を検討する。最終的には複数名からなる審査会(取締役会)で融資実行の可否に関する採決をとり、承認されれば融資を実行する。
③募集開始
募集金額や用途・金利・返済期間などの条件がネット上で貸し手に対して公開され、募集が開始される。クラウドバンクでは、複数の借り手をまとめて1つのファンドの形式として募集を行う。(個別の借り手企業名は非公開)
④投資
投資家(貸し手)は条件を見てどのファンドにいくら資金を融資するか決める。必要な金額が集まるか、あるいは決められた期間が終了すれば募集が終了する。
⑤貸付実行
募集終了後、集まった資金が借り手に貸し出される。
⑥返済
借り手は返済期間の間、事前に決められた方式に沿って毎月クラウドバンクに対して返済を行う。
⑦分配
クラウドバンクから投資家に対して毎月事前に決められた方式に沿って元本と金利が分配される。
以上の通り、基本的な仕組みは至ってシンプルである。なお、クラウドバンク自身は、投資家からは年利1.5%相当の手数料、借り手からは借入金額の2~3%程度の手数料を徴収している。
融資型クラウドファンディングの借り手はどういう企業か
融資型クラウドファンディングの借り手は、現状では中小企業や飲食店などが多くを占めている。こうした企業は、なぜ銀行からではなく、融資型クラウドファンディングでお金を借りるのだろうか。三菱東京UFJ銀行出身でmaneo創業者の妹尾賢俊(せのお・ただとし)氏によると、銀行で企業への融資審査を行う際には、次の「ふるい」があるという。これらの条件に合わない場合、融資の対象にはならないのだ。
・ 設立から3年を経過していること
・ 不動産などの担保があること
・ 融資額が一定の額以上であること
・ 借入期間がある程度長期であること
・ ネガティブイメージのある業界でないこと
審査や手続きの手間を考えると、小口や短期間の融資は割に合わないと敬遠されるということだ。「ネガティブイメージのある業界」というのは、風俗関連、パチンコ関連、医療・介護関連(報酬の不正請求が多いため)などを指す。こうした「ふるい」があるため、いくら優良企業でも、起業したばかりの会社や担保を持たない会社、ネガティブイメージのある業界の会社は銀行からお金を借りることができないのだ。融資型クラウドファンディングの借り手となるのは、主にこうした企業である。
また、銀行借り入れができる企業でも、不動産の購入などに必要な資金全てを借り入れで賄えない場合、その不足分を融資型クラウドファンディングで調達する、といった使い方をする場合もある。
中田健介 サラリーマン投資家・投資ブロガー
IT系企業に勤務する傍ら、2010年から「融資型クラウドファンディング」での資産運用を開始し、現在まで年平均7%以上の利益を上げる。「低金利時代の投資家にとって、融資型クラウドファンディングは最も優れたインカムゲイン投資である」と強く感じ、ブログ「けにごろうのはじめてのソーシャルレンディング日記」を開設。2015年3月10日に著書「年利7%! 今こそ『金利』で資産を殖やしなさい!~日本初! 融資型クラウドファンディング投資の解説書」を出版。
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