Businessman groom sitting on a chair
(写真=Thinkstock/Getty Images)*画像はイメージです


所得格差が大きい米国

日本と米国では、所得全体の中で上位1%の富裕層がどの程度の割合を占めてきたのだろうか。『21世紀の資本』の著者トマ・ピケティが情報公開する「The World Top Incomes Database」によると、1986~2010年の平均で、日本の8.2%に対し米国は14.7%である。米国は日本よりも所得格差が大きいのだ。この背景を考察してみよう。


高い資本収益率とスーパー経営者の登場

米国では90年代にニューエコノミーといわれる好況やITバブルが起こり、2000年代はFRBの金融緩和とそれによる住宅バブルが発生、概ね高成長が続いた。また金融や専門サービスなどの企業や従業者が多く、金融緩和で儲かる人々が相対的に多いと推測できる。そのため、実質経済成長率は平均2.7%を達成し、国民所得は増加。

ただ、バブルのような高成長で資本の利回りも高く、株主重視の傾向にあった。期間のずれはあるが、平均利回りは株式(S&P500)10.9%、不動産(FTSE NAREIT総合指数収益率)10.9%、債券(10年国債実質利回り)3.1%で、3者の平均は8.3%。つまり、労働(2.7%)より資本運用(8.3%)の方が儲かったのだ。


ピケティ理論で格差をみる

ピケティは世界の長期傾向として、資本収益率r(株式・不動産・債券などの資本運用で得る収益の割合)は4~5%、経済成長率g(主に労働による所得の伸び率)は1~3%台となり、r>gが成立することを示した。

そして、資本は通常、富裕層に偏在するので、r>g下では富裕層は所得を資本として蓄積でき、ますます豊かになる。一方、貧困層はそれができないため格差は拡大する、という理論だ。

実際、米国の場合、gの2.7%以上にrが8.3%と高く、5.6%の差でr>gが成立し、格差は広がったと当てはめることができる。

また、米国企業では階級が固定化しており、従業員が経営層になって高額所得を得るのが難しいという社会構造も影響している。さらに、所得税最高税率が1980年の70%から、1988年には28%に下がり、上位層の所得が増えやすい仕組みとなった。ゆえに、特に大企業で超高額報酬を得る「スーパー経営者」なる存在が増えてきたのだ。

このように、資本所得で儲ける人に加え、桁違いの労働所得を得る人も増え、格差が大きくなったのである。