岩田太郎
(写真=Thinkstock/Getty Images)

米連邦公開市場委員会(FOMC)の3月18日の声明と、米連邦準備制度理事会(FRB)イエレン議長による3月27日の講演は、「6月利上げ説」と「9月から12月説」の対決に決着をつけるには至らなかった。リッチモンド地区連銀のラッカー総裁は3月31日、6月利上げ説に「強い根拠」があると述べたが、市場の見方は拮抗している。

イエレン議長の「利上げは今年後半に」「6月に利上げがないということではない」という6月説を補強する発言にもかかわらず、彼女はドル高による米経済への悪影響、2%物価上昇率目標の未達、欧州経済や中国経済の減速への懸念、労働市場の全体的回復力の弱さなど、利上げ先送りの有力な理由にも言及した。市場に次の一手を悟らせない裁量の余地を残したものと見られる。

翻って、投資家の政策予想であるフェデラル・ファンド金利先物は、雇用統計後に6月利上げの可能性は11%。FRB当局者の17人中、ハト派・タカ派の半数以上が6月から今夏にかけての利上げを支持する現状認識とかい離していることが浮き彫りになっている。

筆者は去る2月中旬、できるだけ早期の利上げを主張するセントルイス連銀のブラード総裁にインタビューした。ブラード氏は「市場を大きく動かすタカ派の男」として知られ、彼の発言が市場で材料視されることが多い。そのブラード総裁が市場と当局者の見解がかけ離れてしていることに苛立ちを隠さなかったのが印象的だった。彼は「市場は利上げ時期にこだわり過ぎであり、利上げ後の数年間に金利をどのように動かしていくかという問題の方が重要だ」と力説し、「利上げ時期は重要でない」と言い切った。

量的緩和(QE)の美酒に酔いしれ、「利上げは、できるだけ遅くあってほしい」という願望ばかりで現実を見ようとしない市場が、利上げの時期にこだわることへの不満だった。当局者と市場の予想が違えば、利上げ時に好ましくないショックが走るかも知れない。

だが、FRBが市場に伝えたいメッセージは、「利上げは極めてゆっくり行うから、大丈夫。お酒を一挙に取り上げることはありませんよ」ということだ。「投資家にやさしい利上げ」においては、最初の利上げ時期はさして重要ではないというのが、ブラード総裁をはじめ、FRB当局者の見解だ。


歩み寄るのは市場かFRBか

著名なFRBウォッチャーであるオレゴン大学のティム・デューイー教授は、「明らかなのは、市場がFRBに歩み寄っているのではなく、FRBが市場に歩み寄っている姿だ」と看破した。

方やブラード総裁は、市場がFRBのメッセージに聞く耳を持たない場合について警告を発している。彼は3月31日にロンドンで記者の質問に答え、「投資家の利上げ予想は、FOMCの予想と整合が取られるべきだ」と主張し、「(かい離があれば、利上げの際に市場や投資家が現実に歩み寄る過程で)市場の乱高下もあり得る」と強く訴えた。つまりは「FRBにケンカを売るな」というわけだ。

一方、FRBのナンバー2でFOMC投票権を持つフィッシャー副議長は3月30日、「年末までに政策金利の利上げが正当化される」と述べ、FOMCの利上げ時期選択に大きな裁量の余地を持たせた上で、「(FRBの政策金利である)フェデラル・ファンド金利のスムーズな上昇は、まずあり得ない。なぜなら米経済はFOMCなどが予想できないショックに遭遇することが避けられないからだ」と意味深に発言した。そして、「いったん利上げが始まれば、金利は経済のパフォーマンス次第で上がったり下がったりするだろう」と予言している。

著名な英経済評論家のギャヴィン・デイヴィス氏は、「FRB内のハト派とタカ派は、利上げ時期についてはほぼ一致した意見を持っているが、利上げのペースについては大きな隔たりがある」と指摘し、利上げ後の金融政策予想の困難さを予想している。

こうしたなか、利上げ後の市場の乱高下の後に何が来るのかという、いささか気の早い予想も出始めている。クレディスイスによると、1999年と2004年の利上げ局面では、米株式市場は最初の利上げから2か月から4か月間、大幅な下落を続けた。しかし、下げの後に来るのは「買い」のチャンスなのだという。ショックの後には回復の希望があるという過去の教訓である。

(在米ジャーナリスト 岩田太郎)

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