オペレーショナルアセット
(写真=Thinkstock/Getty Images)


増え続ける空室問題

全国の賃貸住宅の空室率が上昇し続けている。総務省統計局の発表によると、2013年の空室率は過去最高の13.5%であった。

空室の増加は賃貸マンションに限ったことではなく、地方ではオフィスも空室が増えており、不動産オーナーを悩ませている。

今の賃貸事業で難しいのは、建物にお金をかけて修繕しても賃料は上昇しないし、入居率もあがらないため、リターンが少ないことだ。たとえば、環境に配慮したエコオフィスを建築したとしても、それがなかなか賃料に跳ね返ってこない。

省エネビルなのでテナントが支払う付加使用料は若干安くなるものの、それがテナント側にとって入居を決定づける要因になっていないのだ。


空室対策に効果的な「オペレーショナルアセット」とは

そんななか、賃貸マンションや賃貸オフィスで、空室率の改善に成功している事例がある。それがシェアハウスやシェアオフィスだ。

これらは「オペレーショナルアセット」と呼ばれる部類の不動産に属する。オペレーショナルアセットとは、その収益性がオペレーターの運営能力次第で収益が大きく変わる事業用不動産をいう。わかりやすい例がホテルだ。

ホテルという同じ建物であっても、その運営次第では大成功する場合もあるし、赤字倒産してしまう場合もある。ほかにも商業施設やレジャー施設、病院、ゴルフ場、高齢者施設などがオペレーションアセットに該当する。

大手デベロッパーが開発・運営している大型商業施設の場合、店舗の家賃は最低保証賃料+売上歩合制になっている。

家主であるデベロッパーは、テナントの毎月の売上を把握し、売上が落ちているテナントには退去を命じる。運営能力が高い商業施設は、テナントの退去が「衰退」ではなく、むしろ「活性化」に繋がっているのだ。


住宅のオペレーションアセットはシェアハウス

住宅のオペレーショナルアセットといえばシェアハウスになるだろう。シェアハウスの管理会社は、入居者の募集に加え、住人同士のトラブルに対応したり、交流促進するためのイベントなどを企画する。

通常の賃貸マンションよりは運営に手間はかかるが、ホテル並みの高度な運営能力までは必要ない。

オフィスのオペレーショナルアセットにはシェアオフィスやサービスオフィス、コワーキングスペースといったものがある。

これらのターゲットは小規模事業者や、創業したてのスタートアップオフィスなどになる。共用空間には会議室や受付、プリンター、給茶機が設置されている。

受付に人を置いて運営サービスを行う場合もあるが、これもやはりホテル運営より難易度はずいぶん低い。


共用スペースが多いので収益が下がる可能性も

シェアハウスやシェアオフィスは、入居者一人当たりの専有スペースが小さくなるため、賃料単価としては上がる傾向にある。

ただし、賃料を生まない共用スペースも多数発生してしまう。シェアハウスであれば、共用のキッチンやラウンジ、シャワー、トイレなどだ。

シェアオフィスであれば、小さく区画割りすることで中廊下が発生し、会議室や受付、OA機器設置スペースなどが共用スペースとなる。そのためシェアハウスやシェアオフィスはどうしてもレンタブル比が下がってしまう。

また、運営を委託する場合、運営会社へ支払う管理料も通常の住宅やオフィスに比べると割高で、それが収益圧迫につながることもあるので注意が必要だ。


ハードからソフトへの戦略シフトが空室改善の鍵

しかしそんなシェアハウスでも、何もしないよりは空室率は抑えられるだろう。単純に賃貸マンションやオフィスを建てるだけのいわゆる箱貸しよりは、運営力というソフトが付加される分、入居者が集まる可能性が高い。

これからの空室対策には、リフォームや修繕などのハード面のみでなく、運営するというソフト面の取り組みも欠かせない。オペレーショナルアセットに注目している不動産オーナーはまだ少ないため、入居者に対する差別化のアプローチにもなる。

施設保有から施設運営に切り替える新発想が、これからの賃貸事業を成功させるヒントになりそうだ。(ZUU online 編集部)

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