米国を代表する資産家で投資会社バークシャー・ハサウェイのCEO兼会長でもあるウォーレン・バフェット氏は、今年3月に非上場の自動車ディーラーであるバン・タイル・グループを買収した。

3月末にはさらに自動車ディーラー事業を拡大する方針を打ち出し注目を浴びている。

自動車業界では電気自動車の販売拡大や自動運転車の登場など華やかな話題は尽きないが、どうやらバフェット氏の思惑はより現実的な側面に向けられているようである。


実に好調でプロフィタブルな米国自動車ディーラービジネス

全米の自動車ディーラーは、好調な国内販売の追い風を受けている。年間の販売台数は1,750万台にのぼり、リーマンショック時からすれば大幅な販売拡大となっている。

近年の雇用の改善、ならびに個別家計の借金の改善なども新車購入の消費を後押ししている。また、自動車ローンの借り易さも販売を押し上げている状況にあり、とにかくメーカー各社ともに潤っている状態だ。

全米自動車ディーラー協会発表の2013年の米国自動車ディーラーのROE(株主資本利益率)は平均で29%とかなり高いものになっており、過去5年継続して上昇している。

この数字はリーマンショックの起きた2008年時のROE12%のダブルスコア以上のもので、これだけでも十分な投資対効果を見込むことができるのだ。バフェット氏の投資目論見の基準は、まさにここにあるといえよう。


巨大資本の参入は業界でも歓迎ムード

自動車ディーラービジネスはROEがきわめて高いものの、規模の小さい企業ではバックオフィスのコストが非常に高く、そのぶん利益が低くなる。

つまりバックオフィスを共有化する巨大なディーラーネットワークが構築されれば事業採算性がさらに高まると見られている。

したがってディーラー業界の多くの経営者はバフェット氏のような資本が参入することに歓迎の意向が強いとされている。

自動車ディーラービジネスは、ビジネスプロセスを改善させることで、さらに利益を押し上げられる余地が残されていると考えられている状況だ。

自動車ディーラーというと徹底した系列店マネジメントばかり考えるのが日本人かもしれないが、米国ではディーラーが契約により様々な商品を売る形態となっており、個人経営のようなところも多い。

しかし今回のバークシャー・ハサウェイのディーラー投資によって業界が統合される可能性がでてきており、さらに利益の拡大が見込まれる。

そのあたりにバフェット氏の投資の思惑が隠されているものと思われる。

日本国内における2014年の年間販売台数は560万台弱であるから、米国市場と比べて3分の1以下のマーケットキャップしかなく、すでに販売台数が頭打ちになっている日本市場とはかなり状況が異なるのが、米国での自動車ディーラービジネスだ。

景気回復感が強い米国市場では、この活況は当分続きそうな勢いだ。(ZUU online 編集部)

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