Q.起業家を育てるときにはどのようなことを意識していますか?成功している人とそうでない人の違いは何なのでしょうか?
大前氏: これは、ナイキのフィル・ナイト氏の言っていることですけれども「起業家として成功するのは簡単だ。成功するまでやることだ。そしたら成功するんだ」と。つまり、ネバーギブアップ。こういうことですよね。
ただ、最近は、シリコンバレーに行くと、2年でダメなものは辞めなさいということを言っています。あまりにも動きが早いからです。米国のクラウドソーシング大手のオーデスクにしても、医師が患者の医療関連記録を管理するためのクラウドサービスを提供するプラクティス・フュージョンにしても、2年で収益モデルができあがって目処が付く。そういう感じですよね。クラウドワークスも今3年目ですよね。そういう風なところで、やっぱり勝負が非常に早くなっています。
フィル・ナイト氏が言っているような、勝つまでやればいいんだっていう時代とはまたちょっと、この世界では変わってきたなという風に思います。特に、うまくいく人も失敗は2、3回しています。つまり、最初からぴゅーっと上手くいっちゃうっていうのはあんまりないと思いますね。
マッキンゼーにいった南場智子氏も「不格好経営」という本を書いていますけれども、やっぱり不格好ですよ。彼女は自分自身の後輩なので、そばで見ていてもハラハラ、ハラハラしていますけれども。野球球団の経営まで始めてですね、「コイツ大丈夫か」と思います。まあ、何かあったら私もアドバイスをするようにしていますけれども、やっぱり、最初からうまくいくって人は少ないんです。2、3回失敗するっていうのは、けっこう重要なところですね。
今、非常に調子のいいようなスピードをもって伸びているようなところも、人生をずっとたどってみると、これ失敗、これ失敗、みんなに見放されたっていう経験を何回かしていると思います。だから、積極的にそういうようなことをして、それを糧に成長することです。