米指標の下振れが続き、利上げ開始予想は後退したはずだが…

今週の為替市場では、米経済指標の予想比悪化を受けたドル安継続が特徴的だった。但しドル/円は米利回り上昇に支えられ狭いレンジ内の動きとなった。ユーロは上昇基調だったが、ドイツ国債利回りの上昇一服の兆しと共に反落。豪ドルは週後半に他のコモディティ通貨と共に軟化。

■ドル/円:今週レンジ119.06~120.51円(前週時点の予想118.50~121.00円)

ドル/円は3月末以降の118.5-121.0円のレンジ取引が続いているが、今週は米経済指標の悪化を受けてレンジ内弱含みとなった。5日は、一時的なドル高を受けて120.51円の高値へ上昇する局面がみられたが、その後は米貿易赤字が予想以上に拡大したことから120円割れへ反落、6日も雇用統計を占う上で注目された米ADP民間雇用統計が市場予想を下回り+20万人をも下回ったことから翌日にかけてドルは119.06円へ続落した。

但し7日には、米新規失業保険申請件数が予想を下回ったことからドルが買い戻され、119円台後半へ反発している。この間、ドル/円と連動性の高い米2年債利回りは上昇基調が続いており、ドル下落を阻んだかたちとなっている。米経済指標の弱さがドル上値を抑制した一方、米利回り上昇がドルを下支えし、結果としてドル/円レンジは想定よりも狭い動きとなった。

■ユーロ:今週レンジ1.1066~1.1392ドル、133.11-136.00円(前週時点の予想1.100~1.135ドル、132.0~136.0円)

5日にはIMF欧州局長が、債権者が大規模なギリシャ国債償却を行わない限りIMFが支援をしないと発言したことから、ユーロ/ドルは1.1066ドルへ軟化する局面がみられた。もっとも、その後はドイツ国債利回りの上昇基調や米経済指標(貿易収支、ADP民間雇用統計)の予想比下振れを受けたドル安もあって、7日にかけて1.1392ドルへ上昇した。

但し7日にはドイツ国債利回りが急反落したことを受けて、1.12ドル台半ばへ反落している。ユーロ/円もほぼ同様の動きとなり、5日に133.11円へ軟化した後、136円へ上昇、足許は135円丁度近辺へ小反落している。

■豪ドル:今週レンジ0.7788~0.8031ドル、93.58~95.94円(前週時点の予想0.780~0.805ドル、92.5~95.5円)

5日のRBA理事会では市場予想通り25bpsの利下げが行われ、政策金利は史上最低の2.00%へ低下、発表直後に豪ドルは下落し、0.7788ドルの安値を付けた。もっとも、声明文で将来的な金融政策スタンスが示されず、追加利下げ期待が後退したことから、豪利回りや鉄鉱石価格の上昇と共に6日にかけて0.8031ドルへ上昇した。

但しその後は、原油価格の下落を受けたカナダドルなどのコモディティ通貨の下落につれたかたちで反落、足許は0.79ドル割れへ軟化している。豪ドル/円も同様の動きとなり、RBA理事会直後に93.58円へ下落した後、6日には95.94円とほぼ前週高値と同水準へ上昇、足許は94円台半ばへ小反落している。

その他通貨では、ポンド上昇とNZドル下落が目立った。ポンドは7日の総選挙に関する出口調査結果で、保守党が予想以上に得票を伸ばし、現政権と同じ自民党との連立で過半数に達する可能性が高まったことから、政権不安定化懸念が大幅に後退したことが背景。NZドルは、6日発表のニュージーランド1Q失業率が5.8%と予想外の大幅上昇となったことから下落したのが響いた。(今週のレンジ実績は月曜から金曜昼頃まで、数値はBloombergより)