来週の見通し:ギリシャにスパルタ教育?

来週は、本日8日の米雇用統計の結果次第で水準が変わってくる可能性があるものの、米景気が利上げ開始に耐える強さを備えているかを確認する状況が続きそうだ。中では13日の米小売売上高が重要で、回復が確認されればドル反発の端緒となる可能性がある。

ユーロ圏では、11日のユーロ圏財務相会合でギリシャ支援問題で合意に近づけるのかが注目され、完全な合意に至らずとも合意に向けて進展がみられれば、その後発表のユーロ圏GDPの加速見通しもあって、ユーロは続伸しそうだ。豪ドルは、豪州と中国の経済指標が改善するようだと、堅調が続きそうだ。

■米ドル/円:予想レンジ118.50~121.00円

今週8日の米雇用統計の結果次第で水準および方向感が変わってくる可能性があるが、来週の焦点は4月分米経済指標で冬場の悪化からの明確な回復が見られるかが焦点となる。中では13日発表の小売売上高が重要で、出遅れた3月分も合わせたような大幅な回復が見られる可能性も残っており、
その場合には再びレンジ上限(121円)方向へ上昇基調に入りそうだ。

他方、回復がみられないようだと年内利上げ開始観測が更に後ずれし、3月末以降のレンジ下限を試す動きとなりそうだ。小売売上高のほか、15日の5月NY連銀製造業景況指数や4月分鉱工業生産の回復度合いも注目だ。

■ユーロ/ドル予想レンジ:1.110~1.145ドル ユーロ/円予想レンジ:133.5~136.5円

まずはギリシャ支援を巡る11日のユーロ圏財務相会合が焦点となる。合意に向けた明確な進展が見られない中、11日の会合でも進展が見られない場合にECBはギリシャの銀行向け緊急流動性支援(ELA)の制限を検討している模様で、進展なし、とのヘッドラインが流れると一旦ユーロ安リスクがある。

ギリシャは来週、12日に約7.5億ユーロのIMF融資返済、15日に14億ユーロの3か月物Tビル借り換えの必要があるようだ。但し、ギリシャ政府は一定の譲歩姿勢を示しつつあり、国民の大半はユーロ離脱を恐れ合意の必要性を感じている模様で、何らかの進展が見られる可能性がある。

この場合は、足許のユーロ上昇基調が続きそうだ。13日発表のユーロ圏1QGDPも、前期比+0.4%へ小幅加速の予想となっており、ユーロの追い風となりそうだ。ユーロ続伸見通しに対するリスクはドイツ国債利回り動向で、7日の上昇一服がその後の更なる低下に繋がるようだと、ユーロは上がりにくくなるだろう。

■豪ドル/米ドル:予想レンジ0.780~0.805ドル 豪ドル/円:予想レンジ92.5~95.5円

鉄鉱石市況が回復し、RBAの利下げに打ち止め感が出ている中で、豪利回り上昇と共に豪ドルは反発基調となっている。来週発表の豪4月NAB企業景況感・信頼感(11日発表)が前月に続き改善したり、13日発表の中国4月分主要経済指標で市場予想通り小売売上高や鉱工業生産で加速がみられるようだと、豪ドルは続伸しそうだ。豪ドル高シナリオのリスクには、欧米の利回り上昇一服につれた豪利回りの反落や、鉄鉱石価格の上昇一服などがある。

FXウィークリー(マネックス)

山本 雅文(やまもと・まさふみ)
マネックス証券 シニア・ストラテジスト

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