グローバル化で加速する経済活動
それからグローバルです。20何年前に『ボーダレス・ワールド』という本を書きまして、ハーパー・コリンズ社から出版しました。ボーダレス・ワールドです。これはやはりですね、国境をヒト・カネ・モノが全部動くという、こういう世界なんですね。
実は、レーガンさん、今思うとかなり古い大統領ですけれども、この人は規制緩和じゃなくて、規制撤廃をしたんですね。何の規制撤廃をやったかというと、通信と金融と物流なんです。この3つが実はボーダレス時代にもっとも重要な産業で、国境をまたぐ、お金、通信、そして例えばフェデックスなどの、物流関係が国境をまたぐようになった。
このグローバル、あるいはボーダレス経済ということを、これもまた、世界で初めて私が唱えたんですけれども、お金とかそういうものまで、全部大きな財産というのが通信回線上にいってしまうということです。
これに私が最初に気がついたのは、アイルランドでのことです。アメリカのシグナルという保険会社の仕事を、当時で言うとワークステーションで、アイルランドに送り込んでいました。そうすると、アメリカ人が家に帰って寝ている間に、アイルランド人がビジネスプロセスアウトソーシングで、この保険請求業務は正しいかどうか全部審査します。そして、チェックを切って、発送を完了して、翌日アメリカ人が来れば、あとは送るだけということになります。アメリカから仕事が国境をまたいでいますよね。その時に「電話線で、雇用が国境をまたぐんだ」と、こういう言い方を私はその本の中でしてるんですけれども、今では普通ですよね。
私も中国の大連に日本語のビジネスプロセスアウトソーシングの会社を経営していますけれども。このようなことっていうのは、当時は最初に気が付いたのはアイルランドとアメリカの間だったんですね。そういうことで、いわゆるグローバル、ボーダレス経済というものに気がついて、それも書きました。
「マルチプル」を活かす経営で買収を加速
それからマルチプルです。これは私が学生なんかに教えてて一番わかりにくいところなんですけれども。マルチプルというは、倍率という意味ですね。株価収益率、PERといいますけれども、これが倍率の典型的なものです。素晴らしい経営者がいるとか、あるいは急成長している、将来明るいというと、PERというのはどんどんあがっていく。それが時価総額を決めますので、その時価総額でもって資金を調達して、でかい会社を買収することなんかができます。銀行に行ってお願いしますというのではなくて、資本市場でもって資金を調達していくんだということになります。
これら3つの要素を使い切った経営者が、21世紀の優秀な経営者になるんだと。ここがちょっと疎いんだという具合にはいかないんですね。