ベルギーでは昆虫食を認可

すでにベルギーなどでは、EU内で初の「昆虫食認可」の条例を発効している。美食の国フランスでは農家がコオロギなどの養殖と流通に向けた国への働きかけが起きており、これに呼応するように昆虫食番組が増えているという。このほか書面化されていないがイギリスやオランダ、ドイツなどで国内販売が黙認されている。

内山さんによれば、「これは非常に画期的なことだ」という。なぜなら、「欧米において昆虫食は“スカトロ〟と同様に扱われてきた」からだ。まだ認可の下りていないフランスでは、昆虫食の輸出専門会社も誕生し、日本に向けた販促も展開している。

EUは本気だ。日本としても手をこまねいているわけにはいかない。


食用昆虫研究家の圧倒的不足

だが残念ながら日本は、昆虫研究者は多いものの、機能研究や害虫駆除などが中心で、食用の研究家はほとんどいない。

内山さんは、農学系や栄養学系で昆虫食に感心を持つ研究者が増えることに加え、もうひとつ、生産者である農家の関心の高まりを期待する。「『昆虫業』のような専門の生産者が生まれ、市場を開拓することが必要」。

養殖技術ではすでに蚕などの蓄積があるほか、カブトムシや鈴虫などホビー向けの養殖技術もある。これをより大規模化し、衛生管理を徹底すれば、昆虫食は次世代の食品産業を担う可能性はある。実際、国内の食品会社も密かに研究を行っているが、「イメージもあって名前を出せない」(内山さん)。地方大学なども、ぜひこの豊かな昆虫食という資源と研究分野に目を向けてほしいところだ。

もちろん関連法整備や栄養分析などまだまだ取り組むべき問題は多い。だが欧米、あるいは中韓がデファクトスタンダードを取る前に、やはり行政、政治家にいち早く関心を持ってもらい、産業化を急いでもらいたい。

論より証拠。まずは昆虫食体験からだろう。結構「虫はウマい!」ので。

(この記事は2014年10月16日「 Biglife21 」 に掲載されたものです。)

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