「物流」から「流通」へ ロジクロス・コミュニケーションの描く50年後の日本とは

(この記事は2015年4月1日に掲載されたものです。提供: Biglife21

物流ではなく〝流通〟へ。
システム改善を通じて、より良い日本の未来を築く。

メーカーの物流業務改善を事業としているが、世に乱立するコンサル会社とは一味も二味も異なる企業がある。外から意見するだけではなく、クライアント内部に入り込んで実行から改善まで携わることで信頼を集める株式会社ロジクロス・コミュニケーションの吉村武久社長に聞いた。


株式会社ロジクロス・コミュニケーション設立まで

昭和49年(1974年)生まれの吉村社長は今年40歳。「漫画家か学校の先生になりたかった」という吉村少年の興味は、大学では国際開発や国際協力に向かうようになる。南アフリカで現地の生活向上のためのプロジェクトに関わるなど、精力的に活動していたという。しかし、学生の身分であればまだしも、ボランティアやNGOで生計を立てるのは難しい。社会貢献への意識を抱えたまま就職を考え始めた若き同氏は、「日本の社会、生活基盤を支えているのは経済だなと思った」といい、日本企業の99%以上を占める中小企業を支援する仕事に就きたいと、経営コンサル会社に就職する。

しかし、クライアントの社長たちに対して経営の改善点を指摘しアドバイスをするには、大学を卒業したばかりの若者では致命的に経験が足りないと感じたという。経営コンサルタントは失敗の許されない仕事でもあり、「若いうちはもっと思うことを試したり、失敗したりしないといけない」との思いから、この経営コンサル会社を5年間で退職する。

次に「現場に入って経験を積める仕事がしたい」という思いで入社したのが、現職と同業、現場での物流業務オペレーション改善を請け負う企業だった。大手商社出身の創業者達が8名で立ち上げたベンチャー企業に同氏も参画した形だったという。この企業の社長のことは「今でも尊敬していますし、大好きです」という同氏だが、8名で始まったベンチャー企業が大きくなっていく中での様々な経緯から、結果的に4年半で退職し、ここで得た経験や知識をもとに株式会社ロジクロス・コミュニケーションを設立する。起業時31歳のターニングポイントであった。

現在9期目の同社は、創業時点では同氏以下3名。ひとりは同氏に物流を教え込んだ前職のパートナー会社の先輩を巻き込んだ。もうひとりは経理や管理を担当する同氏の夫人である。いわば身内3名での設立だったが、現在までの9年間でその規模35名、年商45億円までに成長を遂げた。


コンサルではなく、アウトソーシング

物流業務の改善を事業とする同社だが、同氏はあくまでも「当社はコンサル会社というより、アウトソーシング会社」と強調する。メーカーの物流部門の内部に「参謀」として入り込み、実行から効果が上がるまでサポートするのが特徴だ。

まずは即効性のある改善策を実行(クイック・ウィン)し、最初の診断にかかったプロジェクトフィー以上の効果を創出し、その後は1〜3カ年の経営改善計画を立てて取り組んでいく。クライアントとしても、同社に丸投げして任せっぱなしではない。クライアントの社員も共にプロジェクトに関わることが重要なのだ。同氏は「当社が保有するノウハウはすべて移管させて頂くが、経営改革・業務改善は一緒にやりましょう、というハンズ・オン型のスタンス」と語る。

クライアントの社員が関わることで、営業や生産、調達といった他部門との連携が可能になるという業務改善においての利点もあるが、何より大きなメリットは、業務改善しながらクライアント内に改善を推進できる人材を育成できることだ。同氏は「自社内でできるようになって、3年間で当社を切ってください、と言っています」と語る。こうしたスタンスが同社の大きな個性であり、明確な数値を示して提案される独自のノウハウやネットワークには絶対の自信を持っているという。