「現在」と「50年後」の社会に貢献を

同社の理念は「心に誠実を刻み、我が使命を生涯追求すること」「家族・社員と、価値及び幸福を分かち合うこと」「顧客・パートナーと目的達成及び喜びを分かち合うこと」「『現在』と『50年後』の社会に対して、貢献を行うこと」の4つだ。コンサル会社らしからぬどころか、まるで社会福祉事業者のそれのようなこの理念からも、同氏が目先の利益の追求をまったく目的としていないことが分かる。

現在の同氏は家族や社員を背負う立場だが、自分に関して言えば、社会に奉仕し続けた結果、見返りがなく窮地に陥っても「どうってことない、そんなに怖くない」のだという。そもそも「そんなものだと思って」おり、見返りを求めてはいけないというのだ。この考えから、同氏は社員に利益を追求しようとする意識をいったん捨てさせ、「限りなく天に徳を積む」ことを行動指針として定めている。このため、年商だけをみれば45億円という数字を叩き出しているとはいえ、同社のビジネスは非常に薄利多売であり、利益率は非常に低いのだという。

しかし、「企業が長期的に発展・継続するためには、短期的な利益を追いかけるよりも、顧客に喜ばれ信頼される方が、ファンが集まり、結果的に社会的なステークホルダーが増える。お取引先、仕入先、協業パートナー、社員、株主が増えると、当然会社の基盤は強くなっていく」というのが同氏の考え方だ。さらに同氏は、「そもそも大金持ちになろうと思っていないんです。お金は死なない程度あればいい。大金を儲けなくてもいいんです」と言う。

「もし僕がお金儲けをさせて頂くならば、それは自分の懐を肥やすためじゃない。自分がもっと社会をより良くできる仕事ができると思ったら、そのときはお金を稼ぎます。そして、組織を大きくし、社会に還元していく事業を興していきます」

利益だけを考えれば、物流部門を有していないような小さな会社の支援はフィーも低い。巨大な物流規模を持つ大手メーカーをターゲットにする方がフィーが大きいのは明らかだ。しかし、学生時代からボランティア精神にその軸足を置いてきた同氏の芯は、才気溢れる経営者として同社を成長させ、不惑を迎えたいまなお全く変わっていない。

「僕にとってのキーワードは〝シェア(共有)〟。一極集中ではなく、共有と分配を意識すると、様々なアイデアが生まれる。それを実行して、一生懸命な方々を支援し、お役立ちすることに邁進したい」(提供: Biglife21

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