■スマホ向け4K液晶の顧客は確保できるのか?
新規技術の開発はどうだろうか。シャープは4月に、スマートフォン向けに4K解像度の液晶を開発し、2016年までには量産化できることを明らかにした。同液晶パネルをアップルのiPhoneや、サムスンのスマホ・ギャラクシーに売り込むことに成功すれば、シャープの業績も一気に回復する可能性がある。
しかし、そうそう楽観的ではいられなさそうだ。アップルのスマートフォン販売台数は、2014年第4四半期だけで約7500万台にも上り、これだけの数を安定して供給するために、数を確保できない部品については同社は採用しようとしない可能性もある。
サムスンは機能により優れたスマートフォンで対抗してくる公算もあり、4Kを搭載してくることも十分にありうる。だが、ハイエンド機は台数自体はなかなか伸びず、自社生産の液晶、もしくは有機ELのパネルで間に合わせるのではないだろうかとの観測もある。
さらには、中国メーカーの需要についても望み薄になりそうだ。シャオミに代表される中国メーカーは、もう「安かろう悪かろう」という端末メーカーではない。最新の部品を使って、iPhoneやギャラクシーに比べても何ら遜色のないスマートフォンを製造している。
加えて、これら中国の携帯端末メーカーの需要のまだまだ取り込めなさそうだ。というのも、中国メーカーの戦略はあくまで、一番いいものを模倣しコストを押さえることだからだ。つまり、新しい技術は失敗するリスクも、実装するコストも高く彼らがそのリスクを取る必要はまだ少ない。したがって、よって4K液晶を搭載したスマートフォンを製造することも、まだ当分無いだろうとの見方も成立する。
こうしてみると、確かに、スマートフォン向け4K液晶を実現したシャープの技術力は素晴らしいが、それを端末に採用するメーカーが現れるかは不透明な情勢で、実績を押し上げるにはまだまだ時間がかかりそうだ。