近ごろ起業する人が増えている。格安の賃料で賃借できるインキュベーション施設や、企業同士のマッチング、そして新規に人材を雇用する際の補助金など、起業をするための環境が整いつつあることも理由のひとつだろう。

政府も起業を後押ししており、ベンチャーや外国人による起業を一カ所で支援する「開業ワンストップセンター」を計画している。法人登記や税務申告などの手続きをセンターで一元管理できるようにするなど、支援は活発化している。


多くの自治体が設ける、創業資金を援助する「制度融資」

起業にあたって最も重要となるのは「資金」だ。インターネットを活用したビジネスであればさほど資金を必要としないだろうが、それでも人を雇用したり、部屋を借りたりと何かと資金は必要になってくる。政府が支援する補助金の大半は、最初は自己資金で支出したあとにその資金を支援するというものが多く、使い勝手がいいとは言いづらい。補助金を活用するにしても最初に資金を用意しなければならないことには変わりはない。

創業資金を補助する制度というのはほとんどないが、「制度融資」という融資支援制度を設けている自治体が多い。制度融資とは自治体が独自に設けるた融資制度で、金融機関から直接融資を受けるよりも有利な条件となっている。たとえば東京都が行っている制度融資は、無担保で金利は1.5%から。創業後5年以内の場合は2,500万円まで融資を受けることが可能だ。

いっぽう総務省は全市町村に対して、自治体と地元金融機関とが連携して行う創業支援のための「創業支援事業計画」の策定を要請しはじめた。産業競争力強化法に基づくもので、創業に関する窓口や販路開拓支援だけでなく、金融商品開発といったものも含んでいる。地元金融機関の融資に対して、初期投資の補助を目的とした「地域経済循環創造事業交付金」の予算も強化する。2014年度補正予算に加え、15年度の予算として29億円を計上している。


自治体による金利ゼロ起業融資が増え始めている

この動きに合わせて、各自治体で「金利をゼロ」とする起業融資が増え始めている。

東京都文京区では、この1日より、区内の金融機関と手を組み、区内での創業予定者や創業1年未満の事業者を対象に最大800万円(代表者が区民の場合は1,000万円)まで金利負担ゼロでの融資を行う。返済期間は6年以内となっている。練馬区では、創業支援特別貸付」制度を2015年度から開始。区内での創業予定者や創業後1年未満の事業者という条件は文京区と同じで、金利負担ゼロで最大500万円まで融資が受けられる。返済期間は7年となっている。

このように、自治体も将来の税収増を見込んで地元での起業支援に積極的だ。「創業特区」に指定された福岡市のように、創業支援を全面に打ち出す自治体もある。今後も各自治体で同様の制度が増えてくることが期待できる。これから起業をと検討されている方は、条件を比較吟味してじっくり検討されてはいかがだろうか。(ZUU online 編集部)

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