会社内で完成した発明(職務発明)は、誰のものか-620x330

(この記事は2014年3月8日に掲載されたものです。提供: Biglife21


発明は人間から

発明は自然人(法人の対立概念)のみが生みうる。血の通った人間でなければ、あーでもない、こーでもないと、試行錯誤し考えて、ついに発明を完成することはできない。その通りである。

会社は、法律が作った(想像上の)人格であり(だから、法人)、所有者となり得ても、創意工夫ができず、作り手である発明者とはなり得ない。

そこで、発明の本来的な持ち主(原始的帰属者という)は、その自然人である発明者である、とするのが日本の特許法である。

いわゆる、会社内で完成した発明(職務発明)は、誰のものか?という問題の答えである。

そして、発明者は特許権者となることができ、会社はそれを使わせて頂く者(法律では、当然に使える、との書き方であるが)、という構図ができあがる。いわゆる、職務発明による通常実施権の発生である。


職務発明の帰属

ここで、職務発明の考え方として、一般に発明の概念を3つほどに場合分けするのが普通だが、分かりにくい。2つに分ける。会社が我々のものだといえる余地のある「職務発明」と、会社介入の余地のない「自由発明」(従業員が会社と無関係に完成した発明)の2つである。

この職務発明の帰属に関し、いろいろな混乱が生じた。

会社としては、発明すべき立場の従業員が、会社において発明したのであるから、会社が持ち主になっても当然ではないかと考える。そして、一律に譲渡させ、会社が特許権者となるのがほぼ一般的である。

そして、発明が生まれるまでの強力な支援は元より、この発明を育て、製品とし世に出したのは会社である。それまでには、大変な労力と創意工夫が必要であった。決して、あなただけの力ではここまで来なかった、と。

しかし、会社が莫大な利益を上げると、職務発明の発明者も納得がいかない。この発明の原始的帰属者は私だ、もっと貰う権利があると考える。

私がいなかったらこの大発明はなかった。だから、その莫大な利益の成果の一部分は私が貰うべきだと。