株式再取得も視野に、自社の強みで事業支援

すでに保有株式を売却したエイチ・アイ・エスだが、今回は株式取得も視野に入れていると表明。ただし創業時のような単独過半数取得までは考えていないとも付け加えている。エイチ・アイ・エスはこれまでもスカイマークの航空券販売を多く手がけてきており、支援スポンサーに選ばれた際には、航空券販売を軸に支援を行うつもりだ。地方路線を利用するツアーも検討し、相乗効果を狙う。採算性の低い路線でも自社の企画力を生かすことで搭乗率向上に貢献できると考えている。


支援表明の一番の理由は「ANA」か?

今回、ANAが正式に支援に乗り出したことはエイチ・アイ・エスの支援表明にも大きな影響を与えていることが伺われる。ANAの支援の狙いはスカイマークが持つ羽田空港の36の発着枠だ。ドル箱路線のため収益性が高く、支援先として正式に選択されればコードシェアを含めて発着枠を広げることができる。最近は航空大手が自らLCCビジネスに乗り出す動きもあり、ANAがスカイマークをこうした新ビジネスに活用することも考えられる。そして、現状の下馬評ではANAが最有力候補とされているのだ。

エイチ・アイ・エスにとって、スカイマークのスタートアップ当初は多額の出資を余儀なくされたが、今回のような大きな出資を伴わない限定的なリスクの中でなら、格安航空券とツアービジネスで十分に採算を確保できると考えたのではないだろうか。仮にANAが選定されなくてもエアアジアが手をあげているので、エイチ・アイ・エスにとっては今回の支援投資はきわめて限定的なリスクで実現できる可能性があり、魅力的な話になったと考えられる。澤田会長の厳しいソロバン勘定が見え隠れする支援表明ともいえるのではないだろうか。

(ZUU online 編集部)

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