国内航空第3位だったスカイマーク <9204> が民事再生法を申請した。エアバスの大型機A380を6機発注したものの、1,915億円にものぼる多額の購入代金や、支払い滞納による契約解除・違約金の支払いに困窮。再建に注目が集まっていたが、自力では難しいと判断し手を挙げた形だ。社長の西久保慎一氏は退任し、取締役・有森正和氏が新たな社長に就任した。


スカイマーク破綻の前兆

そもそも破綻の前兆はなかったのだろうか。円安の影響で海外から調達していた航空機燃料が高騰し、経営圧迫の要因のひとつとなっていたのは確かだ。しかし利用客がいればさほど業績に影響はないはずだ。事実、他社も燃料の急騰により収益が圧迫されてはいるが、利益は確保している。

ほかに考えられる点として、2012年5月に同社から発表された自社のサービス方針「スカイマーク・サービスコンセプト」がある。このサービスコンセプトの中には「手荷物収納などの援助はしない」、「客室乗務員に丁寧な言葉づかいは義務づけていない」、「客室乗務員の服装は自由」といった記述に加え、「ご不満のあるお客様は“スカイマークお客様相談センター”あるいは“消費生活センター”などに連絡を」と、あたかも消費生活センターがスカイマークに代わって苦情を受けつけるような姿勢が物議を醸した。問題の背景として、自社の立ち位置を決めかねていた点が大きい。

同社は、日本の空が大手航空会社に独占され価格も高止まりしていたなか、1990年以降に始まった規制緩和を受け新規参入を果たした経緯がある。当初は運賃が大手と比較し割安で人気だったが、サービスを簡素化する代わりに運賃の低価格化に注力したLCCというタイプの格安航空会社が2012年より新たに登場。しかもドル箱路線であった羽田ー福岡線にも参入してきたため、非常に苦しい戦いを強いられてきた。

日本の航空業界にLCCが名を連ねたことでスカイマークの存在意義がぼやけてしまった感は否めない。打開策を模索してはいたが、ミニスカートを制服として一部導入するなど顧客ターゲットをうまく絞りきれていなかったようだ。そんななか、当時の経営者・西久保氏は念願の*4 国際線への本格的な参入に向けて、エアバスにA380を発注。超独裁的な経営スタイルの西久保氏にとってA380は拡大路線を実現するための目玉であったが、国際線の就航経験のない会社が大型機でしかも長距離路線を展開することが、いかに無謀かは誰の目にも明らかだった。その結果、経営破たんという最悪な結末を迎えてしまった。


スカイマークの経営破たんを経営に活かすには

今回の事象を経営に活かすにはどうすればいいのだろうか。事前に経営破綻の兆候を知ることはできるのだろうか。

A380発注に関する計画はずさんだったと言えるだろう。これは経営者が独善的に振る舞った典型的なモデルだ。ワンマンは経営が順調ならカリスマともいえるが、常に好調とはいえない。ときには英断も必要だが、多くの場合は周囲の声に耳を傾ける謙虚さが必要ではないだろうか。スカイマークの経営破たんを教訓に、自社が独善的になっていないか注意しておきたいものだ。

(ZUU online 編集部)

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