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(写真=Thinkstock/Getty Images)

トヨタ自動車 <7203> は2月4日、2015年3月期の米国会計基準(US GAAPベース)での連結営業益が前期比約18%増の2兆7,000億となる見通しを発表した。これは従来予想をさらに上ぶれするもので、円安の追い風の中で北米市場での好調な販売実績が大きく起因していると見られている。

まさに円安が直接利益に結びつき、米国での価格競争力をしっかりと維持できたことから、好調な決算を実現する見通しだ。特に2014年は、販売台数においても、フォルクスワーゲン・グループが世界販売台数のトップになると予想されていたが、最終的にはトヨタが1,023万台を売り上げたことにより、世界一の座を守る形となった。これでトヨタは3年連続で販売台数の首位を記録している。


系列子会社への利益還元を明言

トヨタ自動車ではこうした好決算の状況から、安倍内閣からの要請にも応える形で、系列子会社などへの部品供給に伴う価格改定要請を今下半期はゼロとし、さらに来上半期も引き続きゼロにすることで下請け企業の賃上げ原資とできるよう配慮する旨を公表している。

果たして価格の現状維持が、下請けにとってどれだけ賃金上昇のプラス材料となるかははっきりしないが、いずれにしても値下げ要請が今後1年近く発生しない点は子会社にとっては朗報といえる。


自動車産業は依然国内ではピラミッド産業

日本自動車工業会によると、自動車関連の就業人口は547万人と生産労働人口の8.7%を担っており、最盛期の10%超までには至っていないものの、海外生産が進んだ今日にあっても、国内では巨大なピラミッド産業であることを示している。したがって自動車産業の頂点にあるトヨタが、子会社へ利益還元について配慮し、下請けへと分配されることになれば確かに賃金の押し上げ効果は期待される。

当然ながらすべての自動車メーカーが潤沢な利益を確保できたわけではなく、業界全体の賃上げが見込めるわけではない。

たとえばホンダ <7267> はトヨタとは正反対で売れ筋の軽自動車の販売比率が5割を超えるにもかかわらず、国内では販売不振が目立っている。さらに追い打ちをかけるように、海外市場でもフィットハイブリッドの度重なるリコールやタカタ製エアバックの欠陥問題から販売の不調が続いている。売上こそ前年同期比で6.3%の伸びが期待されるが、営業利益は4%減、純利益は5.1%減見込みで、とてもじゃないが系列子会社まで配慮ができる状況ではない。

トヨタのような子会社への配慮が他業種へも浸透していけば、国全体としての勤労者の可処分所得の増大が期待できる。今年の春闘シーズンにむけて、どれだけ広がるかが期待されるところとなる。