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(写真=Thinkstock/Getty Images)

昨年の2014年2月26日、金融庁の有識者検討会より「日本版スチュワードシップ・コード」が公表された。このコードはアベノミクスのいわゆる「第三の矢」の成長戦略の一環として、企業の持続的な成長を促す観点から、幅広い機関投資家に対して企業との建設的な対話を通じ、受託者としての適切な責任を果たすことを提言している。
日本版スチュワードシップ・コードにより、日本企業はどう変わるのだろうか?


外国人投資家の誘い水に

2014年6月15日の日本経済新聞によると、日本の株式市場における外国人投資家の売買シェアは、6割を超える。また、外国人投資家は大型の株式を好む傾向にあり、日本の株式市場の価格形成に大きな影響を与える存在となっている。
またアベノミクスのいわゆる「第三の矢」の成長戦略を推し進めるために、外国人投資家の資本を日本企業へ呼び込むことが重要視されている。

一方で、近年の粉飾や企業不祥事により、日本企業のコーポレートガバナンスに疑念を持つ外国人投資家は少なくない。株主総会では株主との『馴れ合い』が指摘され、取締役を監督すべき機関である監査役の機能が有効に働いていないという印象を与えている。このような外国人投資家のコーポレートガバナンスへの疑念を払拭させるため、『日本版スチュワードシップ・コード』が策定されたのである。


日本版スチュワードシップ・コードは『原則主義』

日本版スチュワードシップ・コードでは、機関投資家に対して以下のような項目を定めている。

1.         機関投資家は、スチュワードシップ責任を果たすための明確な方針を策定し、これを公表すべきである。

2.         機関投資家は、スチュワードシップ責任を果たす上で管理すべき利益相反について、明確な方針を策定し、これを公表すべきである。

3.         機関投資家は、投資先企業の持続的成長に向けてスチュワードシップ責任を果たすため、当該企業の状況を的確に把握すべきである。

4.         機関投資家は、投資先企業との建設的な「目的を持った対話」を通じて、投資先企業と認識の共有を図るとともに、問題の改善に努めるべきである。

5.         機関投資家は、議決権の行使と行使結果の公表について明確な方針を持つとともに、議決権行使の方針については、単に形式的な判断基準にとどまるのではなく、投資先企業の持続的成長に資するものとなるよう工夫すべきである。

6.         機関投資家は、議決権の行使も含め、スチュワードシップ責任をどのように果たしているのかについて、原則として、顧客・受益者に対して定期的に報告を行うべきである。

7.         機関投資家は、投資先企業の持続的成長に資するよう、投資先企業やその事業環境等に関する深い理解に基づき、当該企業との対話やスチュワードシップ活動に伴う判断を適切に行うための実力を備えるべきである。

機関投資家とは、個人ではなく大口の取引を行う企業体の株主のことである。機関投資家は株式市場に大きな影響を与える存在であるため、スチュワードシップ・コードを遵守するよう定められている。なお、日本版スチュワードシップ・コードは法律ではなく、『原則』であるため、法的な拘束力はない。そのため語尾は「~べきである。」とあくまで努力義務として定めている。しかし、上記の原則を遵守できない場合には、説明責任が課されている。