『コトの共創ラボ』がスタート

大手企業が持つ“ネットワーク・資金・人材”などのリソースと、スタートアップ企業が持つ“アイデア・スピード・行動力”を組み合わせることにより、ビジネスの規模と成長のスピードを両立させた事業を創造しようとする試みも始まっている。博報堂、西日本電信電話(NTT西日本)、スカパーJSAT、ニフティ <3828> の4社が会員となって、この4月に活動を開始した『コトの共創ラボ』だ。

このラボの背景となっているのは、『エフェクチュエーション的思考法(effectuative thinking)』だ。まず最終目標を定めた上で最適な達成手段を選ぶというトップダウン方式ではなく、「手元にある利用可能な手段を出発点として、その時その時の流れで目標が生まれてくるのにまかせる」というボトムアップ方式こそがビジネスを成功に導くという考え方で、そこにはまさに『共創』の原点を見出すことができる。


『共創』がビジネスの流れを変える

昨年8月、東京・青山にオープンした『INTERSECT BY LEXUS-TOKYO』は、そのラグジュアリーな空間構築で話題を呼んだ。そこには、店舗などの空間、いわゆるハコを用意するだけではなく、その場での体験や経験までをデザインすることにより、そこに集う生活者との共創を生み出そうという狙いがある。

また、博報堂アイ・スタジオは、『SNSで集めた生活者の声を電子書籍化するサービス』を開始した。例えば食品メーカーは、SNSで投稿された生活者視点の商品活用術やレシピを電子書籍にすることで、商品の利用促進に活用できる。また、家電メーカーは、商品の活用テクニックや写真による利用例を集約することで、商品の認知度を高めたり、キャンペーンの効果を上げたりすることができるという。

さらに、角川アスキー総合研究所が2014年7月から提供している「ePUB Viewer for Twitter」は、Twitterのタイムライン上で電子書籍を“立ち読み”できるというサービスだ。当初は電子書籍の普及が目的だったというが、今やオリジナルコンテンツをユーザーと一緒に共創する場として目が離せない。

ただ、『共創』の定着が、企業にも「生活者との共創にどこまで覚悟を決められるか」を問いかけている点を見逃してはならない。消費者の言動を企業の都合で評価するようなことはもはや通用せず、生活者から寄せられる厳しい意見にも目を向ける姿勢が求められているのだ。(ZUU online 編集部)

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