今、シャオミ(小米科技)が携帯電話端末市場を席巻している。iPhone(アイフォン)などを展開するApple(アップル)やGALAXY(ギャラクシー)などを展開するサムスンの2強状態を崩す勢いで成長を続けている。
日本ではあまり聞く機会のない会社だが、シャオミは中国に本社を置く、創業は2010年とまだ新しい会社である。しかし、安価でハイスペックなスマートフォン端末を中心に、すでに中国国内では携帯電話端末市場で大きくシェアを占め、徐々に世界展開も進めるなど「中国のアップル」と呼ばれる。
シャオミの創業者は、キングソフトという中国最大クラスのソフト開発会社のCEOを務めた雷軍(レイ・ジュン)氏であり、「中国のスティーブ・ジョブズ」の異名がある。
2010年に創業してからGoogle(グーグル)が提供するスマートフォンなどの携帯端末を主な使い道としたプラットフォームであるアンドロイド(Android)をベースにしたスマートフォン端末を中心に製造・販売をし、2014年にはスマートフォンの出荷台数はアップルとサムスンに次ぐ世界第3位である(米IDC調べ)。
2014年の売上高は119億7000億ドルと2013年に比べ135%増となっている。
シャオミの急成長を実現したビジネスモデル
シャオミが創業から4年で業界世界第3位まで上り詰めた要因は、低価格でハイスペックなスマートフォンを提供する商品力と、それを活かしたビジネスモデルにある。
シャオミのハイエンド商品の価格であってもAppleやGALAXYと比べ、半分以下の価格で提供することで販売競争力を高め、収入が少ない人にでも気軽に購入することが出来るスマートフォンとしてのポジションを築いている。
この低価格を実現するために、シャオミでは商品ラインナップの絞り込み、機種ごとの販売期間を長く取ることで商品開発のサイクルを長くしている。この他にも部品調達コストの圧縮や大量生産などを行い、販売をオンラインに限定し直販を行うマーケティング戦略を取るなど低価格を実現する企業努力に余念がない。
低価格で提供する代わりに利益率が低いことが指摘されることもあるが、低価格でもより多くの人にシャオミの端末を使用してもらうことで、シャオミ独自のアンドロイドをベースにした『MIUI(ミーユーアイ)』というファームウェアを展開することでプラットフォームを握ることに今後の長期的な商機を見ている。
この考え方は、携帯電話のキャリアを展開する会社というよりかは、インターネットビジネスを行う会社に近いものがある。
また、製品の品質についても高いこだわりを持っているのもシャオミの商品の特徴である。シャオミは、工場を自社で所有せず製造を行うファブレス企業であり、製造を委託している先はiPhoneを製造している台湾のOEMメーカー(委託者のブランドで製品を生産行うメーカーのこと)である。シャオミが自社で行うのは企画・販売・ユーザーサポートになる。
シャオミは、雷軍氏を中心に他社と差別化したビジネスモデルを実現することで、類を見ないスピードで成長を続けている。