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全日本空輸(ANA)、日本航空(JAL)に次ぐ国内第3位のスカイマークが、羽田空港を発着するすべての便でANAとJALとの共同運行を模索していることが1月に判明した。これが実現すれば、ANAとJALはスカイマークの座席の一部を買い取り、自社の顧客に販売することが可能だ。独立路線を走ってきたスカイマークが、急にかじを切った格好になる。

スカイマークはこれまで、自社単独での独立路線を貫いてきた。しかし業績悪化にともない、当初はJALとの共同運行を模索していたが、公的資金を受けて復活したJALとでは「健全な競争環境を損なう」として国土交通省からストップがかかり、ANAとも交渉を行う両にらみの方針に転換した。さらにエアバス社との違約金問題も発生し、財務内容が急激に悪化。投資ファンドからの資金調達も検討していたが、さらなる対策が必要となった。

それがここへ来てのANA、JALとの共同運行報道だ。スカイマークは報道を否定しているが、実行に移される可能性はないとはいえない。仮に共同運行が開始された場合、早ければ今年の3月下旬か4月からになる。共同運行がうまくいけば搭乗率の低迷という事態を回避でき、年間最大160億円程度の増収効果が見込まれるという。


スカイマークの業績悪化の原因は

円安による燃料費の増加、座席数が多く広いA330-300型機を導入したことによる航空機材費や整備部品費の増加、さらに近年増えている格安航空会社(LCC)との競争激化による成田空港から完全撤退など、スカイマークの平成27年3月期における営業赤字124億円の見込み。経営環境は、きわめて厳しい状況だ。

これらの苦境に加え、さらにエアバス社からの超大型機「A380」の購入をめぐり、最大7億ドル(約840億円)にものぼる多額の違約金の問題がある。これはスカイマークの1年間の売上高880億円に迫る金額だ。

特にエアバス社との契約は、西久保社長の独断により行われており、責任は重大だ。そもそもスカイマークは、国際線への参入目的でエアバス社のA380の購入を決断した。しかし業績悪化にともない財務内容が悪化し支払いも難しくなったため、今回の契約解除騒ぎが起きている。

経営者の独断でうまく行くこともあるが、今回のエアバス「A380」機の購入のようにうまくいかないこともある。「A330」機の導入にあたり、パイロットの訓練費や整備部品費用などのコストが想定以上にかかる。そのなかで新たに「A380」を約1,900億円で購入するという判断は、違約金だけで840億円近い金額になることを考えると適切だったとはいい難い。