政府は産学官連携をより促進し技術開発に取り組む中小企業との連携を強化するため、平成27年度予算として129億円を配分すると1月に発表した。企業と大学の共同研究も進み、大学が企業から受け入れた研究費は平成20年に294億円だったものが平成25年には390億円に増加する等、順調に進んでいる。また、産学官の「学」である大学においても産学官の連携に力を入れている。

その中で、近畿大学は「マグロ」の養殖で有名になりつつある。大学が研究の一環として養殖を行うだけではなく飲食事業にも積極的に乗り出しており、直営の料理店「近畿大学水産研究所」を銀座や大阪に出店するなどその勢いは止まらない。

また、九州大学は栄養吸収能力・脂肪蓄積能力に優れた黒毛和牛「QBeef」ブランドを立ち上げ、産学官連携で生産システムの実証研究に乗り出す等、多くの大学で産学連携が進みつつある。


産学連携で入試志願者数日本一になった近畿大学

近畿大学はクロマグロの完全養殖を成功させ、次々と企業と共同開発した商品の販売を進めている。即席麺大手のエースコックと共同で、近大マグロの中骨を使用したカップラーメン「近畿大学水産研究所監修近大マグロ使用 中骨だしの塩ラーメン」を開発し、全国のスーパーやコンビニエンスストアでの販売を開始した。

近畿大学は近大マグロ以外にも、化粧品販売会社のクロモンコスメティックと技術協力を行い、スッポンのコラーゲンを使用した化粧品を開発。関西だけでなく、東京でも販売を開始する等、人気が高まっている。

近畿大学以外の他の大学も「産学官連携戦略本部」といった部署を設け産学官の連携の強化に力を入れているが、近畿大学が「近大マグロ」のブランド力を高めるため学内の広報部とうまく連携を図り、メディアへの露出やWebの活用を積極的に行っているという点で他の大学と異なる。

これらの活動によって、大学一般入試の志願者数で日本一を達成する等、産学官連携は成果を上げ始めている。