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(写真=Thinkstock/Getty Images)


住宅は建ち直るか?

■ポイント
◆昨日は、米中長期債利回りの上昇を受けてドルが全般的に上昇し、ドル/円も一時120円に乗せた。
◆ユーロは、ギリシャの資金繰り枯渇懸念が再浮上したことから下落した。
◆豪ドルは、RBA高官の豪ドル安誘導・利下げ示唆発言で対米ドルでじり安となった。
◆本日は、米住宅着工件数、ドイツZEW期待指数、豪RBA議事要旨や英CPIが注目材料だ。ドル/円は案外底堅く、出遅れていた米住宅着工が回復をみせれば121円トライもあり得る。
◆他方、ユーロはドイツZEW期待指数が更に悪化すると、ドイツ10年債利回りの低下を通じてユーロ安要因となりそうだ。
◆RBA議事要旨では、今後の追加利下げや豪ドル安の必要性に関する議論がみられれば豪ドル下落につながりそうだ。


昨日までの世界:米金利上昇でドル全面高

ドル/円は、東京仲値前後にドル需要超からか119.40円近辺から119.70円近辺へ上昇した。そして欧米時間には、特段ドルの好材料はなかったが、米中長期債利回りが大きく上昇したことから続伸、一時120.04円と120円台乗せとなった。

ユーロ/ドルは、ギリシャが6月5日に期限が到来する対IMF債務の支払いが困難で、IMFは早期に追加支援を行う意向にないとのIMF内部メモ報道などから、ギリシャの資金が数週間で枯渇するとの見方が再浮上、ギリシャ国債利回りの急上昇と共に下落した。米利回り上昇を受けたドル高も加わり、1.14ドル台半ばからNY時間には一時1.1299ドルへ大幅に下落した。

この間、EUがギリシャに対して妥協案(EUが6月中に50億ユーロ融資、年金・労働市場改革は秋まで合意先送り)を示したとのギリシャ現地紙報道を受けてギリシャ株価が急騰する局面があったが、ユーロ押し上げ効果は殆どみられていない(欧州委はこうした報道を否定した)。

ユーロ/円は、東京時間はドル/円の堅調と共に一時136.96円へ続伸し前日の直近高値を更新したが、その後はユーロ安を受けて135.59円へ反落した。

豪ドル/米ドルは、東京時間朝方にLowe・RBA副総裁が、豪ドルの一段の下落は豪州経済にプラスで、必要な利下げする余地が依然ある、と発言したことから、0.8040ドル近辺から下落、欧米時間は米利回り上昇を受けた米ドル高もあって、0.7977ドルへじり安となった。鉄鉱石価格も続落している。但しLowe副総裁は利下げに積極的とは言いがたく、過度の消費ブームは利益とはならないため、追加利下げの是非は慎重に判断する、とも述べている。

豪ドル/円は、米ドル/円の堅調と豪ドル/米ドルの軟調が相殺し合うかたちで(豪ドルと円が共に同程度弱い)、95.80円近辺での横ばい推移となった。


きょうの高慢な偏見:住宅は建ち直るか?

ドル/円では米4月住宅着工が注目される。小売売上高や耐久財受注と共に、住宅着工統計は特に悪天候の影響を受け易いこともあって2月に大きく落ち込んだ後、3月の回復が殆どみられていなかった。今回は大幅回復が予想されており、もしこれが実現すれば、米景気腰折れ懸念が後退しドル高要因となり、ドル/円はレンジ上限である121円を試す展開もありそうだ。

ユーロは、ドイツ5月ZEW期待指数が注目される。3月までのECB量的緩和実施への期待感を背景にした金利低下・ユーロ安・株高などからユーロ圏の企業景況感指数は軒並み高水準へ改善が続いてきたが、直近は頭打ち感が出てきており、今回のドイツZEW期待指数についても53.3から49.0へ続落の予想となっている。最近のドイツ利回り急騰を受けたユーロ高、株安がセンチメント悪化に拍車をかけ、予想以上に悪化するリスクがあり、ドイツ10年債利回りの低下とユーロ安要因となりそうだ。

豪ドルについては5月RBA理事会議事要旨が注目される。5月の場合、月例のRBA理事会の後、議事要旨公表の前に四半期金融政策声明(SoMP)が公表されるため、議事要旨で追加情報が出てくる可能性は低い。但しあえて言えば、(理事会後の声明や四半期報告では将来の政策バイアスが明示されなかったが)利下げの必要性に関する議論や、足許の豪ドル高に対する懸念が示される可能性があり、昨日のLowe副総裁発言に続き、豪ドル安要因となりそうだ。

ポンドについては英4月CPIが注目材料だ。英国では原油安を主因に総合CPIが前年比ゼロへ低下、BoEの目標レンジ(2%±1%)の下限を大きく下回って推移しており、今回もゼロ%で横ばい予想となっている。先週発表の英労働市場統計でみられたように、失業率の低下傾向・賃金の回復傾向はインフレ押し上げ要因の一方、ポンド高がインフレ抑制要因となっており、目先どちらに向かうかは判断が難しい。

とは言え、BoEはこれまでのCPI低下が一時的で、むしろ景気にプラスとの判断の下、将来的なインフレ反発予想を下に将来の利上げ姿勢を維持してきた。こうした中で、今回CPIが予想を上振れすると、足許のポンド高傾向を強めることになりそうだ。

山本雅文(やまもと・まさふみ)
マネックス証券 シニア・ストラテジスト

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ほっと、一安心。
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