急激な為替変化で揺らぐ中小企業の足元…講じるべき施策とは-620x330

2014年後半から今年にかけて、急激な円安が進んでいる。2014年8月の1ドル=101円台から、そのわずか4ヵ月後の年末には121円を突破するなど、その早さは尋常ではない。また長期的でみても、2007年から2011年までは4年で40円の円高、2012年から2年間で40円の円安となるなど、為替の動きは急だ。


急な為替変化に戸惑う中小企業

円安は輸出企業にとっては有利だが、輸入企業にとっては大打撃である。さらに輸出企業には大企業が多く、輸入企業には中小企業が多い。そのため、円安局面になると中小企業の倒産が増えがちとなる。事実、円安に振れ始めた9月から円安関連倒産件数が増え始め、前年同期比で3割増となる等、4ヵ月連続で最多を更新中である。

円安・円高になること自体が問題ではない。急激な円安や円高への対応に追われ、対応できなかった中小零細企業から倒産していっていることが問題なのだ。特に輸入依存度の高い食品、建設資材等を中心に円安の影響が大きく、消費税率引き上げ後ということもあり価格転嫁がスムーズにいっていない。今年に入り、ようやく徐々に価格転嫁が始まろうとしているが、まだまだ十分とは言い難いのが現状だ。

円安関連倒産の主な原因は、輸入原材料の高騰、輸送コストの高騰、過去の円高局面に実施していた為替デリバティブによる為替差損の拡大、これらが複合的に絡み合ったものだ。

例をあげると、ニット製品卸のクレア・コーポレーション(富山県)では、仕入を中国からの輸入に全面的に依存していたため、円安により仕入価格が上昇し、2014年10月に倒産している。また、鉄筋工事の誠工業(愛知県)では、円安により資材価格が高騰し業績が悪化、今後も回復の見通しが立たないため2014年11月に倒産している。