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(写真=Thinkstock/GettyImages)

◆先週金曜は、米コアCPIの予想比上振れに市場が強く反応し、ドルが全面高となったのが特徴的だった。ドル/円は一時121.57円へ上昇し年初来高値(122.03円)に迫った。

◆本日は、米国休場で材料も少ない中で、ドル高のトレンド追随の動きとドル利食いの動きとが交錯しそうだ。


昨日までの世界:米インフレ率の予想比小幅上振れに強く反応

ドル/円は、東京時間は日銀決定会合で(市場予想通りではあったが)景気判断が若干上方修正され、追加緩和が行われず、黒田総裁の定例記者会見でも当面追加緩和が必要ないとの姿勢が示されたことから、121円丁度近辺から欧州時間にかけて一時120.65円へ軟化した。

その後NY時間にかけて120円丁度程度へ小反発した後、米4月コアCPIが前年比+1.8%と、鈍化の市場予想に反して伸び率が高まったことから、米中長期債利回りの上昇と共にドルが急上昇し、一時121.57円と20日の直近高値を更新し3月10日の年初来高値である122.03円に迫る水準となった。

その後のYellen議長発言(東京時間午前2:00以降)では、年内利上げ開始の可能性を示唆し、利上げ開始は来年以降にずれ込むとの一部の市場の見方に修正を迫るものではあったが、現時点の市場の中心的シナリオとみられる9月前後の利上げ開始シナリオからは違和感のないものであったためか、市場の反応は限定的だった。

ユーロ/ドルは、ドイツIfo景況感指数が108.5と市場予想ほどに悪化しなかったためか(前月108.6、市場予想108.3)、1.11ドル丁度近辺から一時1.1208ドルへ上昇していたが、その後の米コアCPIの予想比上振れを受けて急落、一時1.1002ドルの安値をつけた。

ユーロ/円もユーロ/ドルとほぼ同様の動きとなり、134円台半ばから一時135.34円の高値をつけたあと、133.73円へ急反落した。米コアCPIを受けたドル高が、対円よりも対ユーロの方が大きかったためだ。

豪ドル/米ドルは、0.79ドル丁度前後で推移した後、米コアCPIの予想比上振れを受けた米ドル高により、0.7811ドルへ下落した。この間、鉄鉱石価格は2日連続で持ち直したが、豪ドル下支え効果はあまりなかったようだ。

豪ドル/円も、95円台後半で推移したあと、欧州時間入りから下落し始め、一時94.95円へ下落した。


きょうの高慢な偏見:トレンド追随か利食い売りか

ドル/円は、米国休場で材料が少ない中で、トレンド追随の動きから先週金曜日のドル上昇が続くか、あるいはドル利食い売りが優勢となるかが注目される。確かに米国のコアCPIの上振れは、FOMCの利上げ開始の可能性を高めるという点でドル下支え要因だが、先週金曜日に見られたほどのドル高材料かは微妙だ。

なお、本日唯一の重要経済指標発表として本邦4月通関貿易収支があり、こちらは前月の大幅改善・黒字化(+2274億円、季節調整前)から再び赤字に転じる予想(-3511億円)となっているが、円安や海外景気の回復基調を前提とすれば、今後も貿易収支は改善が続く可能性が高い中で、どちらかというと予想比改善リスクに注意する必要があり、若干の円高リスクとなる。

ユーロ/ドルは、ドイツ10年債利回り動向が最大の注目だが、5月末の25億ユーロ相当の年金や公務員給与支払いを控えギリシャ支援関連ニュースにも注意が必要だ。先週ギリシャ政府報道官は10日以内に債権者側と合意に達し6月の債務支払いも行うと宣言していたが、週末にはVoutsis内務相が、債権者側との合意がなければ6月の年金・公務員給与支払いや16億ユーロの対IMF債務の返済も不可能だと述べ、お決まりの瀬戸際戦術もとり続けている。

豪ドルは、鉄鉱石価格の反落基調から上値の重い状況が続きそうだが、先週金曜の米ドル高の反動がみられると、豪ドルはやや底堅く推移しそうだ。

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山本雅文(やまもと・まさふみ)
マネックス証券 シニア・ストラテジスト

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