(この記事は2015年5月29日に「
Biglife21
」掲載されたものです。)
独占状態のサービスで驚異的な伸びを見せる株式会社エージェント・スミス。35歳でSler企業の役員へと駆け上がった男は10年後、IT業界に新たなビジネスを創出した。「クラウド化が進めば、メーカーやベンダーはその殆どが行き場を失う。これからはサービスの時代」と語る山菅利彦社長に聞いた。
IT企業役員の地位から独立
同氏は昭和38年(1963年)、製造業を営む父親と、美容室を経営する母親の元に生まれる。家に住み込みの美容師がいるような環境で、苦労も含めた自営業の生活を目の当たりにしながら育ったためか、漠然と「自分もいずれは何かの商売を起こしたい」と思っていたという。大学を卒業後、すでに形が出来上がっている大会社には興味を持てず、来たる起業に向けて新設間もないシステムインテグレーター(Sler)の企業に就職。会社を成長させた実績が評価され、34歳で役員となる。11年間を役員として過ごしたのち、IT業界の課題を解決したいとの思いから独立。平成21年(2009年)、45歳で株式会社エージェント・スミスを立ち上げる。
「2〜3割は削減できると断言します」 IT投資の無駄を省く
同氏が感じたIT業界の課題は、無駄が多いことだ。
企業が行っているITへの投資は非効率で、この傾向は大企業の大きなプロジェクトほど強いという。システムの構築から運用までのプロセスをみると、大きなシステムの構築はほとんどが失敗に終わり莫大な損失を生んでいるほか、運用の部分にも浪費が多い。また、そもそもコンピューター業界は売り手主導のマーケット。メーカーやベンダーが、自分たちが作りたい製品を作り販売することによってトレンドを作っている。ユーザーのニーズに合った製品やサービスが提供されておらず、ここにもユーザーにとって多くの無駄がある。さらに、企業の中でITを扱っているのは、ITの専門的なスキルを持たない社員である場合が殆どであり、ここにも無駄が発生している。
このように、企業のIT投資はその様々な部分で無駄が嵩んでいるが、これを解決するのが同社というわけだ。具体的には、世の中に出回っている膨大なIT製品やサービスを把握した上で、クライアントに適した的確な選択と実装をサポートするのが同社のサービスだ。ITの中でも難しい部分をプロである同社が支援することで無駄を省くことができ、同氏は「当社なら、IT関連のコストを少なくとも2〜3割は削減できます」と断言する。