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(写真=Thinkstock/GettyImages)

◆昨日は、Draghi・ECB総裁が最近の金利上昇を抑制するような発言をせず事実上放置したことから、ドイツ10年債利回りの大幅続伸と共にユーロが大幅に上昇したのが特徴的だった。ユーロ/円も急騰が続き、140円台乗せとなった。

◆ドル/円は、前日の下落から回復し、米貿易赤字の予想以上の縮小もあって一時124.68円へ反発したが、その後の対ユーロでのドル安や米ISM非製造業景況指数の予想比下振れから124円丁度へ反落する局面がみられた。

◆本日は、ドイツ10年債利回りの急上昇が続く場合のユーロ続伸が最大の焦点となりそうだ。他方、ドル/円は、材料が少ない中で対ユーロでのドル安の影響を受けて上値が重くなるリスクがある。


昨日までの世界:ECBは金利とユーロの上昇を放置

ドル/円は、東京時間は124円丁度前後で方向感なく推移した後、欧州時間には前日の(ユーロ/ドル上昇につれた)下落分を取り戻す動きから124円台半ばへ反発した。そして米4月貿易収支が-409億ドルと前月および市場予想から大きく縮小したこともあって、米中長期債利回りの上昇と共に続伸、一時124.68円の高値を付けた。

もっとも、その後は、ECB定例政策理事会後の対ユーロでのドル安につれたほか、米5月ISM非製造業景況指数が55.7と前月および市場予想を下回ったこともあって反落、一時124円丁度まで反落した。雇用指数も前月の56.7から55.3へ小幅悪化した。

この間、米5月ADP民間雇用統計は+20.1万人とほぼ市場予想通りとなったほか、米地区連銀報告では景気拡大が緩やか(moderate)とする先が前回の4連銀から3連銀へ、一方で拡大が僅かなペース(slightpace)とした先が前回の1から2へ、減速した(slowed)とした先がゼロから1へ増えるなど、全体としては景気認識が若干下方修正となった模様だが、市場の反応は殆どみられなかった。

ユーロ/ドルは、欧州時間入り後は全般的なドル反発の流れの中で、1.11ドル台半ばから一時1.11ドル割れとなった。

もっとも、ECB政策理事会後の定例記者会見でDraghi総裁が最近の金利上昇について、「市場はボラティリティ上昇局面に慣れるべき」「ボラティリティに応じて金融政策スタンスを変更する計画はない」として、現在のドイツ10年債利回りの急上昇を抑制せずむしろ放置したこと、そしてECBの最新の経済予測でも(サプライズではないが)今年のHICP予測が前回3月分のゼロ%から+0.3%へ上方修正された。

これを受けてドイツ10年債利回りが続伸し0.73%近辺から0.90%へ上昇、つれてユーロも1.1285ドルへ急上昇した。

ユーロ/円も前日同様にユーロ/ドルの大幅上昇につれて、138円台半ばから一時140.14円へ大幅に上昇、140円台乗せとなった。

豪ドル/米ドルは、豪1QGDPが前期比+0.9%と市場予想を上回ったことから発表後に0.7819ドルへ上昇した。その後は欧州時間の米ドル高と米貿易赤字の予想比縮小を受けて0.77ドル台半ばへ反落、ただしその後の米ISM非製造業景況指数の下振れなどを受けた米ドル安で再び0.78ドル台へ反発するなど、総じて0.77ドル台後半を中心とした方向感のないもみ合いの展開だった。

豪ドル/円も豪ドル/米ドル相場と概ね同様の動きだったが、米ドル/円が124円台前半で強含みとなったことから、96円台半ばから一時96.99円と97円丁度手前まで強含みとなった。


きょうの高慢な偏見:ブンズとユーロ、限界に挑戦

ドル/円関連では黒田総裁発言と米新規失業保険申請件数が予定されているが、125円乗せに一旦失敗し、かつ明日に米雇用統計発表を控えているだけにこれらの材料で方向感が出るとは考えにくく、124円台前半を中心とした方向感のない推移となりそうだ。ただし、ドイツ10年債利回りとユーロ/ドルの続伸からくるドル安圧力が続くようだと、124円丁度方向へ軟化するリスクがある。

ユーロ/ドルは、Draghi総裁の金利上昇放置スタンスを受けて、目先はドイツ10年債利回り上昇の限界に挑戦するかたちとなりそうだ。過去の長期金利急上昇局面では1.4%ポイント程度上昇したが、今回はまだ0.8%ポイント程度となっており、更なる上昇余地があるとみることもできる。利回り上昇が継続する場合、ユーロ/ドルは5月15日の直近高値である1.1467ドルを意識した展開となりそうだ。

豪ドル/米ドル関連では豪4月小売売上高と貿易収支が注目され、結果を受けて豪ドルは上下しそうだ。豪州では民間資本支出サーベイで示されたように鉱業セクターの投資が大きく減少する中で、非鉱業セクターの回復が重要で、その点では小売売上高が堅調だと豪ドルが更に上昇しそうだ。

他方、鉄鉱石など輸出価格の下落を受けて輸出額の減少・貿易赤字の拡大圧力がかかっており、予想を更に上回る赤字額だと豪ドルには下押し圧力がかかる。豪州では過去の資源投資により鉄鉱石を含む資源の産出・輸出能力が高まっているが、価格下落の影響が大きい状況が続いているようだ。

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山本雅文(やまもと・まさふみ)
マネックス証券 シニア・ストラテジスト

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