6月4日に配信した「デフレ完全脱却に向けた動きが再加速へ」の詳細についてレポートする。
成長率 内需の回復によりデフレ完全脱却の実感につながる堅調な成長
消費税率引き上げの景気下押しを乗り越えた。賃金上昇がまだ弱い中で、物価上昇と消費税率引き上げによる実質所得減小の下押し圧力は大きかった。7-9月期までの2四半期連続のマイナス成長から10-12月期と1-3月期にはプラス成長に回復した。消費税率引き上げが先送りされ、景気の不確実性も小さくなった。
期待インフレ率と期待成長率の上昇を促進し、企業活動が更に活性化する可能性がある。企業活動の活性化が、総賃金の強い拡大につながり、消費活動も強くなり、デフレ完全脱却がより確実となるだろう。2015年度からは法人税率引き下げが実施されたことも後押しだ。新年度入り後に企業・消費活動が一段と強くなり、4-6月期からの成長率は強いだろう。
失業率が自然失業率とみられる3.5%程度を下回り、総賃金が2%上回る拡大をし、消費は堅調な回復トレンドを維持するだろう。内需の回復と円安、そして輸出の回復にも支えられて、企業収益の拡大も顕著で、設備投資の回復の動きも鮮明になってくると考える。
大規模な金融緩和により長期金利が抑制されている中で、名目GDPの本格的な拡大が始まっている。名目GDP成長率が長期金利をバブル期以来はじめて持続的に上回るようになっており、本格的なリフレ局面の入り口に来ている。2015年度のGDP成長率(実質+2.3%、名目+3.9%)は強く、デフレ完全脱却の実感につながるだろう。