財政政策 国民から信任されたアベノミクスは磐石

昨年12月の衆議院選挙では連立与党(自民党と公明党)が獲得議席3分の2を上回る勝利をおさめた。参議院でも過半数の議席を確保しているため、国会運営は順調である。4月の統一地方選挙でも勝利し、政治状況は極めて安定している。

リフレを目指すアベノミクスは国民に強く信任され、成長戦略による構造改革を推進する力がより強くなる可能性がある。成長戦略の最初の大きな果実として、2015年度から法人税率が2.51%の引き下げられた。安倍首相は、2017年4月の消費税率引き上げまでに日本経済を確実にリフレイトするという決意と成長戦略の遂行を表明している。名目GDP成長率が長期金利を持続的に上回るようになっており、税収の大幅な増加により、財政バランスの急速な改善が見込まれる。2019年度までには財政赤字は解消するだろう。


対外収支 経常収支黒字額は底を打った

内需の回復と原発停止による燃料輸入の増加などにより、国際経常収支黒字額は縮小してきた。しかし、膨大なネットの海外金融資産などからの所得収支が大きいため、恒常的に経常収支赤字に転落することはなかった。これまでの大幅な円安の効果がようやく現れ始め、海外経済の回復もあり、輸出のしっかりとした回復が確認され始めた。これまでの原油価格の大幅な下落による交易条件の改善も、貿易赤字の大きな縮小につながる。経常収支黒字額は既に底を打ち、持ち直し始めている。内需の強い回復を考えると、持ち直しのペースは緩やかだろう。